「…暑い」
「そうだな…」
そう同意はしても、海斗の顔は自分と比べたら随分涼しげだと、陽介は思う。時折白い首筋を伝う汗が、なんだか酷く色っぽく思えた。(ああ、重傷だ)(自覚はある)
ざく、と音を立ててアイスにかじりつく。日陰を求めてやって来た神社は商店街よりはまだ良いが、それでも暑いことに変わりは無かった。あっと言う間にアイスは胃の中へ収まる。ちらりと横目で海斗を見ると、溶け出した滴を舐めとるところだった。やっぱエロいなー、と陽介は思う。
「あーもう…死んじゃう」
「陽介、しっかり葬式は挙げてやるから安心しろ」
「安心して逝けってか!…あーくそ、怒鳴ったらさらに暑い…」
「まあ、暑いのは認める」
そう言ってまたアイスを舐める。なんだか酷く羨ましくなって、陽介はそれを持っている海斗の手を掴む。
「陽介?なんだよ」
「…下さい」
「は?…あ、お前!」
手をぐいっと引き寄せて、そのままアイスをぱくりと口に含んだ。あー、とか言いながら、海斗が恨めしげに陽介を睨む。
「お前…ちくしょう…」
「あ、怒った?」
「当たり前…!俺のアイス…」
「じゃああげる」
「は?あ、」
さらに腕を引いて、体ごと引き寄せる。倒れ込んできた海斗を受け止めて、そのままキスをした。
薄く開いた口に舌を差し込む。それと同時に溶けかかったアイスを流し込んで、しばらく口内の感触を楽しんでから口を離した。海斗の赤い顔は珍しいから、陽介は少し楽しくなった。
「最悪…」
「食べたかったんだろ?」
そうからかうように言えば恨めしげに睨んできて、それが面白くって陽介は海斗に抱きついた。
「暑い…」
「だなー」
ああ、なんて暑い夏。
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駄目だ…!甘々は私には荷が重すぎた気がします…難しい!
なんだか有りがちなネタですみません…
(加筆修正後 / 一万打リクエスト企画のときのもの。甘々花主がリクエストでしたが…俺には荷が重かった…)
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