「悪いな、軍には入れない」

はっきり言われてしまった。ばっさりだ。
しょうがない、とは言ったが、正直に言えばロッシュはかなりがっかりしていた。
ストックを引き抜いたらどうかと持ち掛けてきたのは上官であるラウル中将だったが、ロッシュとしてもその提案は願ってもないものだったし、ストックが副官としてついてくれるなら心強い。
少し、いやかなり、期待していた。良い返事が得られるのでは、と。 親友なのだから、という甘えもあったかもしれない。

(だがまあ、あっさり断られたわけだ)

ストックの所属する情報部は軍と対立しているから、いつ取り潰されるか分からない。それに回ってくる仕事は汚れ仕事ばかり、そんな部に所属するストックを案じての提案でもあった。
前々から軍に戻ってこいとは言っていたが、なかなかいい返事は得られなかった。

(決意は変わらない、つーことか)

本当ならば無理やりにでも引き入れたい。だが、無理強いは互いのためにはならないだろう。
断られてしまったのならば仕方がない、これからまっすぐ、それぞれの道を進んでいかなければ。

(次に会うときまでには、俺はもっと強くなる。お前もだろう、ストック)

ロッシュは一歩、足を踏み出した。






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