初めて出会った時から、彼の金の髪は眩くて、赤い服は鮮烈だった。








大きな体の人はもう動けるようになった。でも心はまだ元気じゃない。綺麗な女の人は、悲しそうにそれを見つめている。赤い服のおうじさまは、まだ、目覚めない。

「早く、目、覚ますといいの」

アトは彼の眠るベッドの横で、楽しげに待つ。怪我はもう癒えかけていて、きっと直ぐに良くなるだろう。
彼が目覚めたら、何を話そうか、何をしようか。瞳の色は何色だろう、どんな声で、どんなふうに話すのか。

「楽しみなの!」




アトが運命の彼と言葉を交わすのは、もう少し先の話し。



おうじさまなの!




(それが、過酷な物語の始まりだとは、)






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