獅子の目覚め直後







「ロッシュ、」

呼ばれて、ロッシュは振り向いた。駆け寄ってくるソニアに笑みがこぼれる。

「ロッシュ、明日なのですか?」

「ああ、そう決まった」

「早すぎませんか?だってあなた、ついさっきまで…」

そこまで言って、ソニアは口を噤む。その先を言うのは戸惑われたから。けれどロッシュはソニアの言葉の先がすぐに若って、その上で言葉を続けた。

「お前の言いたいことは分かる。しかしな、だからこそなんだ。使い物にならない俺をかくまってくれたセレスティアの民のためにも、俺は戦わなければならない」

「それは分かっています。けれど、」

不安です、とソニアは呟いた。少し俯いた格好は、いつもの彼女らしくない、とロッシュは思う。彼女はいつも元気で溌剌としているべきだ。

「ソニア、大丈夫だ。必ず無事に戻る」

「けれど、また、あんなことがあったら!」

あんなこと、とはつい先日の、自分の率いる部隊が壊滅したことを指すのだろう。そう、あの出撃の前には随分と嫌な予感がしたものだ。あれは罠だったのだから、結果的に自分の予感は当たっていたことになる。あのときストックが助けに来てくれなければ、どうなっていたか…。
そう、ストック。今回の作戦もかなり苦しいものではある。だがしかし、ストックがいる。彼と背を合わせて、戦える。

「…なあ、ソニア。信じて待っていてくれ。必ず無事に戻る。約束だ」

「そんな、何を根拠に、」

「なんだろうな…俺にもよくわからん。だが、今回はストックがいるだろう」

あのときだって、随分と素早い行動で自分を助けてくれたのだ。そう、まるで、全てを知っていたかのような、

「さすがにそれは無いか」

「え?」

「ああいや、こっちの話だ」

訝しげなソニアを適当に誤魔化してから、ロッシュはまた言う。

「なあ、どうだ?ストックがいるとなると、なんとなく平気な気がするじゃねえか」

「…不本意ながら、確かにそうですね」

そう言ってソニアは少し笑んだ。

(ああ、ようやく笑った)

この方がずっと、彼女らしくていい。




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なんとなくおかしいな、とおもいつつ、ソニアに首ったけでイマイチ核心に迫らないロッシュ
という変な設定




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