マルコ→ミメルなはなしだけど出てくるのはストックとマルコ





「ミメルはね、前から食事を扱うような仕事をしたいって、言ってたんだ!」

酒場から宿屋に戻る途中、歩きながら楽しげに話すマルコに相槌を打ちつつ、ストックは考える。
嫌な予感がするのだ。いくつかの情報が、彼女の不審さを示している。

(しかし、)

まだ確証はないのだ。単なる予測、勘でしかない。ただ、自分のこの手の勘はよく当たる。
嫌な予感が、するのだ。

「でも最後に会った時はアリステルで働くって言ってたんだけど…シグナスに居るなんて知らなかったなあ」

「…そうか」

アリステルで働くはずの彼女が何故シグナスに居るのか。彼女が自分の勘通り密偵なのか、まだ分からない。どちらにせよ、過去に戻って確かめる必要がある。けれど彼女が本当に密偵だったとき、自分は、

「…ストック?どうしたの?」

「いや…少し、気になることが」

「…もしかして、ミメルを疑ってる?」

「いや、」

「そんなわけないよ!」

声を張り上げたマルコに、ストックは足を止める。自分でも予想外の声量だったのか、慌ててマルコは口を塞いだ。

「ご、ごめん…でも、ミメルはそんなことしないはずだよ。…ずっと前から、ミメルは優しい女の子だもの」

それだけ言い切ると気まずくなったのか、マルコは先に歩き出した。

「…ああ、そうならいいんだがな」

マルコには聞こえない小さな声で、ストックは呟く。
そうならいいとは言ったものの、ストックの中の嫌な予感は増すばかりだった。確かめなければ。そして彼女が本当に密偵だったとき、そのときは、






彼女が本当に密偵だったとき、自分は彼女を斬ることができるだろうか。自分の剣は、鈍らないのだろうか。


無意識に、ストックは先を行くマルコの背を見つめた。






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