ひらひら、舞う赤い布と戯れながら、アトは跳ねるように歩く。ひらひら。
ストックの纏う赤い服は、彼が歩く度に揺れて、それを追いかけることがアトは好きだった。いつの間にか大好きになった赤色、自分には無い色だから。

「ねえ、ストック!」

呼べば彼は少し歩く速度を緩め、いつも静かに見下ろしてくれた。彼の澄んだ青の瞳も、アトは好きだ。その瞳はまるで彼の心を表しているようで。悲しいこともつらいことも、ちゃんと知っているのに、その瞳は、心は、驚くくらいに澄んでいる。

悲しいくらいに澄んでいる。

それまでの楽しい気分が嘘のように、急にアトの気分は沈んだ。予測可能な未来を、アトは認めたくなかったから。
そんなアトの気持ちの変化に、ストックは気づく。

「…アト?どうした」

「…ストック、」

「なんだ?」

つい先ほどまで戯れていた赤いそれを、アトはぎゅっと握る。

「ねえ、ストックはどこにも行っちゃだめなの!」

「、アト?」

「アトは、ずっと、ストックといっしょなの!」




どうか、この願いが叶ってほしいと、







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