自室で書類整理に追われていると、勢いよく襖が開いた。 またか。 『失礼します、佐々木さん!お茶をくんできました!』 「いりません」 『佐々木さん肩もみましょうか!』 「結構です。仕事に戻りなさい」 『ドーナツ食べますか!』 「結構です」 『お部屋の掃除しましょうか!』 「だから、結構ですと言っているでしょう」 『さっきメール送りました!』 「ありがとうございます。もういいから仕事に戻りなさい」 『……』 「なまえ」 『……構ってください』 「勤務中ですよ」 視界の片隅で、キラリと何かが光った。 ……ああ、まったく。私はそれに弱いと言うのに。 「仕方ないですね……」 書類から目を離し、大きく腕を広げる。 すぐさま飛び込んできたなまえを腕の中に閉じ込め、濡れた頬を拭ってやる。 「今日だけ、ですよ」 嬉しそうに擦り寄ってくるなまえを撫でながら、次こそは耐えてみせると心に決めた。 その涙、猛毒。 ----------- 涙に弱い佐 々木さん。 title by『恋するブルーバード』さま |