※夢主ちゃん若干暴走。佐々木さんのキャラが危うい。 平和ボケしてるようにも見える街を、ゆっくりと歩いて巡回する。 少し前を行く異三郎の真っ白な隊服が、太陽の光を反射して眩しい。 それほど、今日の天気は快晴だ。背中に、じんわりと陽の温もりが広がっていく。なんだか干された布団みたいな気分。 ぽかぽかと暖まる体。 必然的に瞼が重たくなってくる。 あったかいな。眠いな。お腹すいたな。 『この見廻りって意味あるの?』 歩きながら寝てしまわないよう、異三郎の背中に問いかけた。 「ありますよ。私が貴女と二人きりになれる」 ああ、お腹すいた。空腹が睡魔に勝ったみたいだ。早くご飯食べたい。揚げ物がいいな。 異三郎、今なんか言ってたか?まあいいや。 『お腹すいた!』 「……あと少しで屯所ですよ」 『食べていこうよ』 「屯所に食堂があるでしょう」 『ほらほら、この豚カツ屋さんにしよ!』 「……まったく、仕方ないですね」 渋る異三郎を引き連れて暖簾をくぐると、昼時にしては店内に客は疎らだった。 そのお陰で、カウンター席ではなく、四人掛けの席に広々と座る事ができた。あ、これなら正面から見れる。 豚カツのセットを二人分注文すると、すぐに揚げたての豚カツとご飯がやってきた。 『美味しそ!早く食べよ』 「ええ、いただきます」 『いただきまー……』 早く豚カツにかじりつきたい所だけど、異三郎の口元を凝視してしまう。 私の、悪い癖。 サクっと外側の衣が音をたてて、脂の乗った豚肉が異三郎の口に入っていく。 もぐもぐとしっかり咀嚼して、ごくりと喉仏が上下した。 形のいい唇に、てらてらと油分が光っている。わお。何か肉食系って感じがするよ。 あのしなやかな指に包まれている箸になりたい。そして異三郎の口の中にインした……はっ。何を考えているんだ自分。 「さっきから、何をそんなに見つめているんです。穴が空いてしまいそうですよ」 ああ、バレちゃった。 『……私ね、異三郎がご飯食べてるとこを見るのが好きなの。唇とか、喉仏がセクシーで』 「…………」 『引いた?』 「……いえ、そうですか。実は私もですよ。貴女が食事中にぺろりと唇を舐める仕草が堪らなく好きです」 『…………』 「引きましたか?」 『い、いや。…まあ、食べようか』 その後は、二人して無遠慮に口元を凝視しながら食事をしたせいで、お互いなかなか箸が進まなかった。 魅惑の口元 -------------- …完全に私の趣味。 佐々木さんに「…まったく」って言わせるのが好き。 |