※銀ちゃん視点



とある日のこと。

万事屋に真っ白な来訪者が現れた。

『こんにちは、万事屋さん!依頼をしに来ました!』

「依頼って…。見廻組のお嬢ちゃんが何の依頼だ?」

あの騒動の時は見かけなかったが、時々、町を巡回しているのを目にする女だ。確か名前はなまえだったか。

携帯をいじりながら歩いていて、よく通行人とぶつかりそうになっていた。

「で、依頼の内容は?」

『携帯依存症を治したいんです!』

ブブブブ

言い終わるのとほぼ同時に、なまえが手に持っていた携帯が震えた。

『あっ、ちょっと失礼』

携帯を開き、手早く文字を打ち込み、すぐに閉じる。

「……なに、見廻組の奴はみんな携帯依存症なの?」

『いえ、そうじゃないんですけど……』

ブブブブ

またもやなまえの携帯が震える。

パカッ

カチカチカチカチ

パタンッ

『メールはすぐに返信してあげないと……』

ブブブブ

パカッ

カチカチカチカチ

パタンッ

「いや、お前治す気ないだろ!」

『ありますよ!このままじゃ、仕事が手につかないんです!充電もすぐなくなるし!』

「じゃあ、もう電源切っとけ!」

なまえの手から携帯をひったくり、電源ボタンを長押しする。

『あああダメです!返信してあげないと寂しくて死んじゃうんです』

「うさぎかよ!」

ブブブブ

と何処かで携帯の震える音が。

『あれ、こんな所に……』

なまえの隊服のポケットから、もう一台携帯が出てきた。

この用意周到さは……。

もう一台の携帯も奪い取り、開いてみると電話がかかってきている。

ピッ

恐る恐る耳に当ててみる。

《電源切ってもムダだお☆☆》

「やっぱりお前かァァ!」

《私の唯一のメル友に、余計な事をしないでいただけますか》

ガラリ、と扉が開く音がしたと思えば、またもや真っ白な来訪者が現れた。

『異三郎!』

飼い主を見つけた犬のように、佐々木に飛びつくなまえ。

なんだ、コイツらそう言う関係か。

「30秒待っても返信が来なかったので、心配になってGPS機能を使いました。……返信もせずに他の男の所に居るなんてね」

なまえの両頬をつまみ、そのまま引っ張る佐々木。

『ごめんなはい』

「携帯依存症を治したいなら、ずっと私の側にいればいいんですよ。私としかメールしないんですから」

『はっ、そうか!万事屋さんありがとうございました!万事解決です』

「おお……」

礼を言うと、二人はすぐに出ていってしまった。



「あいつ……。携帯依存症っつーか、佐々木依存症なんじゃねぇか?」




携帯依存治療法



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銀ちゃん視点で書いてみた。

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