02
残っていた仕事を片付け、重い足取りで土方さんの部屋へ向かう。
きっとまた、殴られる。
いつもいつも、華恋のついた嘘のせいで私が悪者にされて、隊士達から暴力を受ける。
そのせいで私の体には常に傷が絶えなくなった。
何故みんな私を信じてくれないのだろう…?
最初の頃はずっとそう考えていたけど、何だか今はもう、考える気力さえ出てこない。
『…土方さん。名前です』
「…入れ」
襖を開けると、鋭い目でこちらを睨む土方さん。
睨まれるのはいつもの事だから、特に気にせず副長の前に正座した。
「…またか。お前はどんだけ華恋に嫌がらせしたら気が済むんだ?」
静かに、だけど冷たく迫力のある低い声で副長が言った。
『…私は、何もしてません』
信じてくれないだろうが、一応否定はしておく。
何があっても絶対に認める様な事はしたくない。
「いい加減認めろよ。華恋はなぁ、お前に虐められるのが恐いっつって いつも泣いてんだぞ!」
『…………』
虐められてるのはこっち。泣きたいのはこっちだ。どうして分かってくれないのだろう。
「万事屋の野郎を取られた嫉妬か?」
『!………』
銀時…。
「野郎が捨てるのも分かるぜ。お前みてェな醜い女」
『…………』
「オイ…。何とか言いやがれ!」
ドガッ
『ッ……』
立ち上がった土方さんに、おもいっきり横腹を蹴られて、畳の上に倒れた。
「往生際の悪ィヤツだな」
『ぐっ…』
うつ伏せになった背中を踏みつけられて、骨がミシミシと軋むのが分かった。
殴られ、蹴られ、
朦朧とする意識の中で、頭に浮かぶのはいつも、
優しく微笑んでくれていた頃の、銀髪の貴方。
痛い。いたい。
痛いよ…。
助けて………。
(…銀時、)
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