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みんなが、笑っている。
明るくて、暖かい。
だけど手を伸ばそうとすると、それは遠ざかってしまう。
迫りくる黒い闇が、淡い光を塗り潰す。全てが消え去る。
一人、取り残される。
暗くて、怖い。
救いのように聞こえた足音は、地獄の底から響く死神のものだった。
夢を見ていたのだと気づくのに、随分と時間がかかった。
ゆっくりと目を開くと、夢の中と変わりない暗闇。
体を起こすと、全身が鈍く痛んだ。
毎日のように、殴られ蹴られ。傷が治りきらない内に、また新たな傷ができる。
真選組がこれほどまで落ちぶれたものだったなんて、思いもしなかった。
たった一人の女がついた嘘すら、見抜く事が出来ないなんて。
(こんなに簡単に)
(人を傷つけるなんて)
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