5-6

ジェイクにおぶられたまま出口へと向かう私。


「倉庫・・・ってことは搬出口があるかもな」


荷物を運ぶ搬出口があれば、確実に地上へと通じているだろう。

予想通り扉を開けた先には大きいトンネルと荷物搬出用のトロッコがある。



「これで、出られるの・・・?」


「ああ、今度こそ間違いなく、な」


トロッコにナマエを乗せて、ジェイクはシェリーと共に左右にあるスイッチを入れる。




その瞬間

トロッコは物凄いスピードでレールの上を走り出す。


その衝撃に私は座っていたことですぐに掴まることができたが、立ってスイッチを入れていたジェイクとシェリーはトロッコの端の方まで投げ出される。


「っ!!大丈夫!?」


二人に声をかける。


「すごい、スピード・・・っ!」


「操縦もクソもねぇのか・・・!」


二人は何とか掴まりながら私の方まで上ってくる。



だが炎の中から再びアイツが現れる。

「このクソ野郎 まだ懲りてねぇのか!?」


「上へあがるしかないわっ!」



ウスタナクから逃げるために上へ上へと上がってくる二人。
だが炎の中からウスタナクはジェイクを道連れにしようとその手を伸ばす。



「ジェイクに触らないで!!」


そう叫び彼らの間にあった重い鉄製の箱をそいつめがけて落とす。



顔面にクリーンヒットしたはずのそれは、一瞬ウスタナクの動きを止めたが再び何事もなかったかのように動き出す。



「いい加減にしてよ・・・!」


続けて私は積んであった太い鉄棒を奴に向けて蹴り落とす。


確かに当たったがそれでも奴は諦めない。

もはや執念だけで動いているのだろう。


残りすべての鉄棒を落とそうと、支えているストッパーを外そうとするがそれは固く固定しており全くはずれる気配がない。


「俺がやる」


いつの間にかジェイクはここまで上ってきていたのか、私が外せなかったストッパーを殴りいとも簡単に外してしまう。


沢山の鉄棒がウスタナクに降り注ぐ。


今度こそ奴は炎の海に呑まれていった__



かと思いきや、炎に焼かれながらウスタナクは最後の力を振り絞り私の目の前に降り立つ。




「あ・・・」

その時ウスタナクが木箱を破壊し、その中からたくさんのピストルが飛び出す。

その中の一つが偶然にも私の前に音をたてて落ちてきた。



考える間もなく私はマグナムを手に取りウスタナクに向かい構える。



だが___


(照準が合わないっ!)


トップスピードで走り続けるトロッコの上では、自分の身体を支えるので精一杯であり、震える腕にとてもマグナムを撃てるような状況ではない。


(当てなきゃ・・・!生きて帰らなきゃ!)

焦るナマエ。


その時両肩に今まで幾度となく感じてきた温もりを感じる


振り返るとそこにはこの半年間、一緒に生き抜いてきた大切な二人の仲間が



「大丈夫よ。私たちもついている。」

シェリーが右側からマグナムの柄を一緒に握る。


「終わらせるぞ」


左側からジェイクが私たちの手を包み込むようにその手を支えた。


ウスタナクの弱点である腹に照準を合わせる。


「ありがとう。

__二人とも」


見事ウスタナクを撃ち抜いた弾丸。

それと同時にウスタナクは口から血を吹き出しながら今度こそ炎の海へと落ちていった。


「・・・・終わった、の?」

私は茫然としながら二人へと尋ねる。


「・・・ええ、今度こそ」


「・・・・・お前たちは、」

ジェイクが二人が吹き飛ばないように抱え込みながら語り掛ける。


「お前たちは、生きる目的のなかった俺に本当に大切なものを教えてくれた。

俺を救ってくれた。

_____ありがとう。」


ジェイクの言葉に私とシェリーは微笑みながら彼の手の上にそれぞれの手を添える。


「さあ、地上よ___」



ジェイク、シェリー

本当にお礼を言わなきゃいけないのは私の方


「ありがとう」

戻ろう  あの光り輝く青空の元へ___

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