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炎を纏った鉄球を容赦なく振り回すウスタナク。


私は銃など撃っている暇はない。鉄球を避けるので精一杯だ。


「はしゃぎすぎだぜ くそったれっ!」



「暴走気味ね・・・ 

私たちへの殺意だけで動いているのよ」




シェリーとジェイクがそれぞれ弾を撃ち込みながら話す。




私たちへの殺意__


(本当にそうなのだろうか?)


いや、むしろあの化け物からは、私たちと同じ、何か



その時ジェイクがウスタナクの右腕の鉄球を破壊する。


だがウスタナクはそれと同時にナマエの脇腹を殴り飛ばす。


「うっぐぅうう・・・・!」


「「ナマエっ!!!」」


殴られた衝撃で別の足場へ吹っ飛ばされるナマエ。

その激痛からしてもしかしたら骨でも折れたかもしれない。




ナマエを助けようと動いた二人だが、彼らもまた別々の足場へ吹っ飛ばされる。


ウスタナクはジェイクの足場へと降り立った。

「盛り上がってきたぜ なぁ? タイマンといくかい?」


ジェイクにもウスタナクにももはや武器はない。

私の武器も吹っ飛ばされたときにどこかへと落としてしまったようだ。


「いった・・・っ!!」

立ち上がると激痛が走る。


ここからジェイクの居る所へは行くことができない。


「っジェイクっっっ!!!頑張ってっ!!」


私には応援することしかできない。


だが、少しでも彼の力になれば。


ジェイクは確実に相手を追い詰めていく。

ウスタナクが僅かによろめいた瞬間に、顔面に拳をめり込ませる。



最後の一発で炎の海に沈めた。

「・・・もう上がってくんなよ」


なぜ、あの化け物はジェイクを必要に狙っていたのだろう。

まるで何かに囚われたかのように、誰かに忠誠を誓うかのように。



ふと私は半年前に雪山で出合ったエイダによく似た人物を思い出す。

そう言えば、彼女の言うことだけは__


そっか、そうだったんだ。


「あなたにも大切な人がいたんだね」


その呟きは崩れる鉄骨の音で誰にも届くことはなかった。


痛みで走ることができない私の元にジェイクとシェリーが駆けつける。


「ナマエ!殴られた所は!?痛む!?」



心配そうに詰め寄ってくるシェリー。

ジェイクはと言えばやけに神妙な面持ちだ。


「大丈夫だよ。痛いけど歩けない程じゃない。

っっ!!」

ジェイクに脇を触られて苦悶の表情を浮かべるナマエ。



「・・・・・・・大丈夫じゃねえだろ」


怒ったような表情のジェイクに何も言えなくなる。



「痛いなら痛いって言え。・・・心配かけるな」


そう言うとジェイクはナマエの頭を抱き寄せる。


「・・・うん、ごめん。」




するとジェイクはナマエを背中におぶる。

「うわっ!!ジェイク!?」


「ナマエは黙っておぶられてなさい。」


暴れようとする私をシェリーは諫める。


「・・・出口は近い。絶対に三人でここから出るぞ。」



「勿論よ。出たらまずはナマエを見てもらうために病院ね。」



「えっ!?でもまずアメリカに・・・」



「良いから黙って言うことを聞く!」


三人で過ごせる時間もあと僅か 

辛い出来事ばかりだった けどそれだけではない


私は一生この瞬間のことを忘れない 

そう思った

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