3-6
裏口を見つけなんとか施設を抜けた私たち。
だが未だ敷地内であることには変わりない。
なんとかしてこの塀を乗り越えて外に出なくては。
しかしそんな考える時間も与えないかのように、戦車は追ってくる。
「しつこいぜ!このポンコツが!!」
「ジェイク!あそこに・・・!」
向かいの建物の二階に赤いバイクが置いてある。
何故あんな所に置いてあるのかは不明だが、展示でもしていたのだろうか。
意外と大きそうに見えるそれは、少し狭いだろうが3人までならギリギリ乗れるかもしれない。
「シェリー!俺はバイクをとってくる。
その間こいつを頼むぞ。」
シェリーの方へそっと身体を押される。
「任せて!」
そういうとジェイクはバイクを取りに、壁から突き出た鉄パイプを伝って行ってしまった。
「こっちへ行くわよ!」
シェリーに促されて向かいの建物の中へ入る私。
(やっぱり)
いざという時、何もできない私は二人の迷惑になるばかりだ。
それなのにどうして二人は、こんなに必死になって私を守ってくれるのだろう。
「シェリー!ナマエ!
後ろに乗れ!!」
ジェイクは二階から窓を突き破ってバイクを持ってきた。
相変わらず人間離れした運動神経だ。
シェリーは私をジェイクの後ろに乗せたかと思うと、自分もその後ろに乗る。
(せまっ)
さすがに三人は定員オーバーだったようだ。
少しでも詰めようとジェイクの背中に引っ付く。
「ジェイク!行って!」
シェリーが周りの敵を撃ちながら叫ぶ。
戦車の銃口がこちらを向き、私たちに向かって撃ってくる
その瞬間ジェイクはバイクを急発進させ横に避ける。
「はっ!!」
その勢いで塀を飛び越え施設の外へと飛び出した。
「やっと出られた・・・」
ホゥとため息をつく私。
シェリーは再びどこかに電話をしているようだ。
落ち着いてくると改めてすごい態勢であることに気づかされる。
前にはジェイク、後ろにはシェリー。
しかも極端に密着していることからシェリーの豊満な胸が背中に押し付けられて、何とも言えない気持ちだ。
「落ち合う場所が決まった。すぐ近くよ!」
そうシェリーが声を上げた瞬間、ヘリのライトに私たちは晒される。
そしてそこからマシンガンを撃ってくる。
相手にとって、もはや私たちの生死は関係ないものらしい。
「つかまってろ!!」
咄嗟にジェイクの腰に掴まる。
ジェイクはアクセルを入れ、急速にバイクのスピードを上げた。
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