3-1

「・・・ここは・・・?」


真っ白い部屋。

静かに身を起こすと自分がペラペラの布切れを身体にまとっていることに気が付く。


随分と露出の激しい格好で下手をしたら見えてしまいそうだ。



(まるで手術するときの服みたい)



中央にベッドとパソコンがあり、そこには私の写真が写っている。


壁には窓は一つもなく扉にはロックがかかっており開く様子はない。



「何かの研究施設・・・?」


私は一体どれくらい気を失っていたのだろう。

ジェイクは、シェリーは無事なのだろうか?


その時入り口の扉が何者かによって開かれる。

それは仮面をつけスーツを着たジュアヴォであった。


何語か分からないが何かをしゃべった後に、私を両側から羽交い絞めにして外へ連れ出す。




どの位歩いただろうか。


広すぎる施設の中を歩くだけでヘトヘトだ。


ようやく目的地についたのかその扉を開きそのまま中へと入れられる。



そこには見慣れたあの顔があった。

「ジェイクっ!!」


「ナマエ!?」



ベッドに横になっていたジェイクは飛び起きてナマエに駆け寄る。



笑顔で抱き合おうとする二人だが、お互いの格好を見て目を逸らす。





「なんでここに・・・」


「俺にもわからねぇ。気が付いたらここにいた。」



なるべくジェイクの逞しい身体を見ないようにしながら話す。




「この人たちに連れてこられて
・・・んんっ!?」


突然後ろの男たちに羽交い絞めにされたかと思ったら床に押し付けられる。



そして私の右手を取り、何かの注射をしようとしている。


「てめぇら・・・!!!
なにしやがるんだ・・・っのやろう!!!」


暴れるジェイクを取り押さえるように何匹かのジュアヴォが彼の動きを拘束する。


「っいた・・!」


何かを右手に注入された後、私たちはすぐに開放されて彼らは部屋から出て行った。




「おい!大丈夫か!?身体に変化は!?」



「ううん、大丈夫みたい・・・」



特に身体に変化はない。しかし一体何の薬を入れられたのか。



それに何故ジェイクと同じ部屋に放り込まれたのか、考えても分からなかった。


ジェイクは先ほどジュアヴォが出て行った扉を調べているが、すでにそこはロックされており、開くことはなかった。


それから数時間



特にすることもなくお互いベッドの逆サイドに座っていた。



突然ナマエの身体に変化が起こる。


「・・・ん・・はぁ・・」


どうしたのだろう。なんだか身体が暑い。

火照ってしまい冷たさを求めてベッドに横になる。




「どうした?」


「ん・・・どうもしない。ちょっと疲れちゃっただけ・・・。」




もぞもぞとしていたがどうにも火照りは収まらない。
寧ろ酷くなる一方だ。




「・・・おい。やっぱりお前変だぞ。どうしたんだ」






顔は赤くなり息は荒い。

まるで、行為をしているときのような女の顔だ。


「・・・まさか」

ジェイクは眉間に手を当てて苦々しい顔をする。



その時不注意でジェイクの手がナマエの胸を掠ってしまう。



「ひゃあっ!!」



その甘い声にジェイクは驚き手を引っ込める。

ナマエはナマエで突然出た自分の高い声に驚き口に手をやる。


「チッ!あの下衆野郎ども・・・!」


間違いなく彼女に投与された薬は媚薬だろう。
だがその目的は一体・・・。


自分と彼女をわざわざ二人きりにさせて、これでは致せと言っているようなものではないか。


考え込むジェイクにナマエは彼の腕に手を添える。



「く、るしいよぉ・・・じぇいく・・

助けて・・・・」


「っ!!」



自分に助けを求める女に何とも言えない支配欲が湧き上がる。



上気した頬に潤んだ瞳、そして胸元がザックリと開いた薄っぺらい服。
そこから惜しげもなく晒される乳房に思わず手が伸びそうになる。



(やめろ!コイツはそう言う意味で助けを求めているんじゃねぇ!
それにこれで誘惑に負けたらそれこそ、奴らの思う壺だ。)




奴らの目的は間違いなく俺とナマエの交配だ。


大方Cウイルスの抗体を持つもの同士が交わればどうなるのか、そういった下らない研究だろう。






奴らのあまりに下衆な仕打ちに吐き気を催す。

だがそれでも薬によって無理やり高められたナマエの疼きは収まらないだろう。






「じぇいく・・・」


ついにはジェイクの肩に両手を置き縋ってくるナマエ。

普段とかけ離れた彼女の様子に、一体どれだけの薬を盛られたのかと奴らに対して反吐が出そうになる。






だがジェイクも健全な20歳の若者。気になる女に縋られて反応しない訳はない。



しかも相手はすでに理性がなく、自分に今にも身を任せてしまいそうな状態だ。

押し倒したくなる本能を必死に抑え、彼女の肩を掴み引きはがす。





「落ち着け・・・!ここで俺に抱かれれば、後悔するのはお前だぞ!」




引き離した彼女の服は乱れてしまっており、頼りない服の胸元からはわずかに桃色の先端が見えてしまっている。
慌ててジェイクはそこから目を逸らす。



「後悔、しないよ。


__私はジェイクが好きだもの。」



再び抱き着いてきたナマエ。

何故かこの瞬間の彼女には理性が戻っていたような気がする。



衝撃の言葉にジェイクにはもはや抗う術などなかった。




「・・・知らねえぞ。」


そう言うと彼女の身体をベッドに埋めた。

その様子を監視カメラで舐めるように見物する姿があった__

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