曖昧な関係性にピリオドを、



 


わたしとこう兄、二人の関係が幼馴染みから彼氏彼女のそれに変わって少し経った。
……とは言っても、それで何もかもが急激に変わった訳ではない。肩書きは変わったけれど、中身までが変わった訳ではないのだから。

そう。

こう兄は、変わらない。
そしてわたしはそれに安堵して、少しだけ残念に思うのだ。

(せっかく恋人になれたのに)
(でも……次は、何をしたら良いんだろう?)

一緒に帰る? そんなのいつもやってる。
家に遊びに行く? それもいつものことだ。こう兄は受験生だから、最近は少し控えてたけど。
デート? 二人でお出かけも時折している。買い物に付き合ってくれたりとか。
手を繋ぐ? ……それも前からあった。繋ぐ、と言うよりは、手を引く、と言った方が良いかもしれないけど。

……つまり、目新しいものは、それ程ない気がするのだ。
そしてそれ以外と言うと──

(キス……とかって、そんなにしょっちゅうしょっちゅうするものじゃない気がするし……)

……自分で考えて自分で照れた。
キスも、した。だからそれだけは、前と違うところだと思う。
あとは──



(……駄目。これ以上考えたら、訳わかんないところに行きそう)

わたしは考えるのを放棄した。そして明日に想いを馳せる。

(『彼氏』のこう兄は、何をしてくれるかな?)

明日はわたしの誕生日。
二人の関係が変わってから、初めての──






 
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