Rain of a cherry tree


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今日は3人で卒業した西園寺学園に遊びに来ていた

それぞれの思い出の場所を3人で見に行きたいというヒロインのワガママを、なぜか俺達の誕生日に聞いている…


「おいっ、何で今日に限ってここなんだよっ」

「わざわざ、僕達の誕生日にここに呼び出したりして」


「なんかね、あの頃が急に懐かしくなっちゃって
また3人でもう一度学校に行けたならなって」


「はぁ?何だよそれ」

「はぁ…、まったく」


でも余りにも楽しそうに、教室や生徒会室、グランドに行く姿が微笑ましくて、俺も雅季も最後まで付き合った

そして、グランドから昇降口迄戻って来た


昇降口から門迄の道を桜の木々が並んでいる

今年はいつもよりも早く桜が散り始めていた


「わぁ〜、見て?見て?
門迄の道がピンクの絨毯みたいだね♪」


そう無邪気にハシャイでいるヒロイン


「ちょっと、雅弥くん、雅季くん、聞こえてる?」


「ちゃんと聞こえてるっつーの」

「聞こえてるよ…」



その時、サァ−ッと春風が俺達の間を駆け抜けた…

一気に桜の花びらが舞い落ちた


「すっげーな」

「桜の雨だ」

「うん」


しばらく舞い落ちる桜の花びらを見ていた


するとヒロインは俺達に振り返り


「お誕生日おめでとう、雅弥くん、雅季くん」


高校生の頃より少し大人びた笑顔…
でも変わらない優しい笑顔


俺の好きな笑顔だ
きっと雅季も…


「おうっ、サンキューな」

「ありがとう」


また俺達の間を春風が駆け抜けた

ふわりと優しく切ない顔を一瞬したヒロイン


「今日は私のワガママに付き合ってくれてありがとう
なんか、私が誕生日だった感じだよね」

えへへとバツが悪そうに笑って、「先に帰って誕生日パーティーの準備してるね」と走って行ってしまった


「おいっ、ヒロイン」
「ヒロイン」


俺達の声は春風に消えた


そう、俺達は気づいていた…
多分もう、3人でいられる時間が残り少ない事をヒロインが走って行ってしまった道に
桜の雨が降っている…

「なあ、雅季…
今夜、飲みに行かね?」

「え?2人で?」

「あぁ…」

「今日ぐらいよくねぇ?」

「そうだね…
多分、今の気持ちを分かち合えるのは雅弥ぐらいだろうからね」

「まーなっ」



俺達はヒロインが先に行ってしまった、桜の雨の中をゆっくりと歩いて帰った



fin


Happy Birthday 雅弥&雅季



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