We love you.(gag ver.)


 


 得意な事が違っても。
 性格が全く違っても。

 やっぱり双子は双子。

 その本質は全く一緒。



 じゃなきゃ、



 こんなあたしに二人してぞっこんだなんて、有り得ない。






『We love you.』



 もうすぐ二人の誕生日。
 何が欲しいかと尋ねたら、

「君」
「お前」

 異口異音、但し同義。

 ……生憎あたしはモノじゃないし、ヒトにあげられるモノでもない。
 それでも二人の希望は、出来る限り叶えてあげたい。

 どうしようか考えて、ひとつ思い浮かんだあたしは、それを西園寺家の皆に打ち明けた。
 皆は快く了承し、そして計画がスタートした。






「……ナニコレ」

 雅季君が目を点にして、雅弥君が口をぽかんとあけている。かく言うあたしも二人に同じ。
 あたしは通りすがりの修一お兄ちゃんを捕まえて尋ねた。

「ちょっとコレ何なの?」
「せっかくのあなたの申し出ですし、少しばかり趣向を凝らしてみました。どうですか?」

 ……コレを『少し』で済ませてしまう修一お兄ちゃんはスゴいと思う。
 ここは西園寺家の広大なグラウンドだった(過去形)。何故過去形かと言えば、そこは今、無駄に派手派手しく絢爛豪華極まりないイベント会場と化していたからだ。
 ワクワクと、褒められるのを待つ少年のような目でこちらを見る修一お兄ちゃん。すぐ下の弟にそっくりですね。




「イタリア語……」
「将来イタリアでのプレーを視野に入れてる俺が、イタリア語を勉強していないとでも思ったか!」
「ふーん。確かに日常会話位は出来てたもんね。でも読んで書けないと意味がないの、気づかないの?」
「ああっ! ほとんど読めねー! しかも書けねー!!」
「雅弥君……思った以上に使えないわね……」

 勝者、雅季。



「身体を使う種目なら俺の本領発揮だ!」
「甘いね雅弥。僕たちは双子だよ? 基本的な能力値に大差はないよ」
「くっ……やるな雅季! だが俺だって、ダテに毎日ぶっ倒れるまで練習してる訳じゃねーぞ! 例えベースが同じでも、加算されたスキルは俺の方が遥かに上だぜ!! ……って裕兄? コレなんだ?」
「何ってコジロウのおやつだよ。コレ先に捕られた方が負けだからね、頑張って!」
「イイ笑顔で言うなぁぁぁ!」

「あー二人とも熱くなっちゃって。今年は寒いから、見ててさほど暑苦しくないのが救いよねー」
「お姉ちゃん……論点がズレてるような気が……」

 勝者、僅差で雅弥。



「台所三番勝負です。まずはタマネギ十個みじん切り。それからキャベツ一玉の千切り。そして林檎三個を飾り切り。できるだけ美しく、かつ早く丁寧に、くれぐれも食材を無駄にしないようにお願いします。くれぐれも」
「二回言ったね……」
「念を押すって言うより、釘を差してるね……」




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