少年の恋の本当
あれは、いつの頃だったろうか。
そうだ、僕がまだ十五だった頃のことだね。
近所に住んでいた二つ上の美佐子お姉さんが亡くなった。
僕がまだ小さな頃から、一緒に遊んでくれた優しいお姉さんだったのに。
彼氏の車で出かけて、事故に巻き込まれたのだそうだ。
僕は、美佐子お姉さんが付き合いだした頃にこう思ったことがある。
『あんな奴と付き合う美佐子さんなんて、死んじゃえばいいのに』って。
僕は、美佐子お姉さんが亡くなってから、たくさん後悔した。
毎日、毎日、泣いていた。
「ごめんなさい」
そう呟いても、聞いてくれる人がいない。
(どうしよう、どうしよう)
いたたまれないのに、焦るだけの思考が情けなくて堪らない。
『死んじゃえ』って思ったから、本当に死んでしまったの?
違うって、言ってほしいのに、美佐子お姉さんの唇はもう二度と動かないんだ。
許してほしいのに、許されないから身を縮めて生きてきた。
あの日の僕の負の言葉の罪深さ。
悔やんでも、悔やみきれないのに。
なくしてもなお、愛おしいのに。
届かない。届かない。
罪は、償えるのだろうか?
責任を負う道すがら、汚い呼吸が世界を濁す。
言葉にはまるで、命があるように思う。
慈しむことをしてやりたかった。
『可愛さあまって、憎さ百倍』なのだ。
『好き』だという裏返し。
二度と届かない、罪深い愛の言の葉。
きらり、空の端に流れ星。
僕はまた、あなたに許しを請うのだろう。
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