君に唄う

どれだけ人に尽くしたとて、貴方を傷つけた罪が消えるハズもないのでしょう。

私が傷つくより自分が傷ついて、そうして、隠して笑ってる。

(わかってるよ、知ってるんだからね)

泣いて欲しいから冷たくする。

どれほど不器用な伝え方でも抱きしめてくれる。

伝えないままいる私は、どれほど臆病で卑怯なのでしょう。

貴方はいつも『可哀相だね』と言われたのって笑って話す。

けどそれは、いつも私を責める言葉でなくて。

貴方はいつも可哀相だと言われて、笑われる。

それでも、『愛してる』と胸をはり笑える人で。

そういうから、私も安心して笑える。

こんなにも貴方を好きでいられる。

胸が苦しくて、涙が止まらないワケはもう聞かないから、だから、また、おかえりって言ってね。

我儘で、傲慢な想いなのは、わかってる。

でも、もう、胸の奥が苦しくて、苦しくて、こんな思いをなんと言って伝えたらいいかわからないのです。

貴方のひそやかに流した涙は、綺麗でした。

だから私も、泣いてるの。

きっとね、そうなんだよ。

貴方の涙に、泣いてるの。

笑わないで、見せていて下さい。

涙も、笑顔も、愛したいんだ。

今、心からそう思う。

不器用で臆病な私が君に宛てた唄。

それは、君を愛した証なのだから。

――……

私がキミと共にこの世界で生きていきたいと思っている限り想い、褪せないように。





※ このお話は、以前やっていた別のサイトにて公開していたものを加筆修正したものです。



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