そのまま、清らかなる水に癒される。

水を全身にかけながら、久しぶりに声をあげて笑った。

その僕の傍らのあいつは、少し迷惑そうに翼をはためかした。

太陽がやっと東にたどり着いた頃、鶴は突然飛び立つ。

晩秋の澄んだ青い空の、深い深い蒼に溶けてしまいそうだと思った。

暫くすると、あの鶴は僕の傍らに戻ってきた。

クチバシ
嘴に青空色の小さな花を携えて。

その小さな蒼を、人はブルースターと呼ぶ。

なるほど、信じもしないくせに信じてくれなど、なんとムシのいい話なんだろうか。

ブルースターの花言葉は、信じあう心。

随分、タイムリーなその花言葉を思い返す。

そういえば、幼い頃に花言葉をたくさん覚えたりもした。

母さんと散歩ついでに、花を摘むのが好きなのが高じたのだったか。

喧騒に揉まれて、いつの間にか脆弱で貧しくなった心に、光が射したように思えた。

なんて清々しい朝なのだろう。

そんな、当たり前の有り難みを感じて、今日からまた、はじめの一歩を踏み出そう。

ありがとうと、さよならを君に伝えたら。





【4 / 5】
 しおり 戻る
「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -