長い長い尾をひいた流れ星が、放物線を描いて、君のもとへ降り注ぐ。とびきり素敵なキャンディのシャワー、祝福のファンファーレ。君は振り向き様、すん、鼻をひとつすすって、多すぎたな、そう言って破顔した。それがあまりにも。





















 
目の眩むようで。
とても、愛しい。


















 
 
 
 
 
 
(宇宙は現在でも、膨張を続けている。それこそ空気をいれてもらう風船のように。人類はそらを見上げては、未知の世界の虜。魅了されて仕方なかった。銀河系という、宇宙で数多ある存在の中で、俺たち生命体は何故か、どういった経緯かで、こうして生きている。宇宙のはじまりも、地球の誕生も、それこそ神様しか知らない物語を、息を弾ませて暴こうとする人達がいる。良いんじゃない。そうゆうの、俺は好きだ。宇宙の神秘、なんだかロマンな気がしないかい。)
 




















 






 
 
 
 
 
今日はアールグレイだった。画になるような仕草で紅茶に口をつける彼、イギリス。俺の、…別に言わなくたっていいね。相変わらず眉間には皺がよってるけど、不機嫌じゃないってことだけは、何となくわかる。わかるようになってきた。だってほら、彼のほっぺは少し赤い。

























 
 
ほんとはこの時期、寝てなきゃいけないはずなんだけど、無理いって俺が押し掛けた。門前払いされるかと思ったら、やっぱり彼は俺には甘い。すこーし嫌な顔をしながらも、めんどくさそうに重い扉を開けてくれた。吐血されたら、なんて変な心配もあったんだけど、今は比較的安定してるらしい。食えよ、紅茶と一緒に出されたお茶菓子も、いつも通りの破壊力。いつ作ったんだろう、俺がくるの分かってたの?聞くことは無いけれど。

























 
 
起きてて平気なの、だけどあえて聞いてしまうこと。平気なわけはないのに、この人は別にって、素っ気ない。そこから、会話が続かなくなる。何しに来たんだ、とも。主催者が油うってどうする、だとかも言わず。ただ大人しいイギリス。俯いて、瞼もゆるく、眠いのかな。珍しい。緊張してるのかとも思ったけど、いったい何に。本当に体調がすぐれないとか、俺にお得意の皮肉のひとつも言えないほどに。来ない方が、良かったかな、なんて。そもそも、なんで俺は君に会いに来たのだろう。さっきから頭の奥がちかちかする。甘い匂い。唾液が溢れて、生唾を飲み込んで。

























 
 
 
 
 
 
(アラスカでオーロラが観測された。肌も凍てつく、手足の先から冷え込む夜。申し訳程度の薄っぺらいベッドに、あの子は潜り込んできた。さむいさむい、どこか涙声で。久しぶりに会いに来た今日、またこの子の背はのびていた。嬉しいような寂しいような、でもこうやって、まだ俺の弟でいてくれる。抱き締めさせてくれるから。アメリカ、俺の可愛い、かわいい。)
 
 
 

























行ってもいいか、不意に。小さなちいさな声で呟いた、彼。今年、俺が行っても、いいのか。指先がかたかた震えるのも構わずに。濡れた君の瞳は、俺の全てを射抜いて。聞き間違いじゃないのかい、それこそ宇宙の爆発のように、俺の脳内に血が、翡翠が、思いが、逆流した。だって、だってさ。目の前が真っ赤に染まる中、彼を抱き締めるのに精一杯。ごめん、俺にはそれしか。必死に、全力で君を。君だけを。
 

























 
 
(君の摩訶不思議具合にはいっつも呆れさせてもらってるけれど、あのときほど、あの夜ほど、君が魔法使いだって疑うことはなかったよ。君は俺の手を引いて、死んじゃうんじゃないかってくらいの寒空のした、手を振りかざした。一瞬の魔法だった。魔法としか言いようがなかった。寒さなんて、吹き飛ばすくらいの。俺はとびきり甘いもの好きだったからね。抱き締めてくれる腕の温かさも。アメリカ、名前を呼んでくれる君の声も、それだけで。)


























 
 
どうしてくれるんだ、勝手に零れる涙は。嗚咽も、鼻水も。イイトシした俺達二人して。見てよ、下ろし立てのシャツぐっしゃぐしゃ。おかしくっていつの間にか笑ってた。泣き笑いって、初めてだよ、俺。ちょっと、ちゃんときいてくれてるかい。
























 
 
ねえ、君は?





















 
 
(「星を観に行こう」)
 
 













 
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