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それから、幾日幾月…

鈴、蓮の持つ紙飛行機の量が増えてゆく。

増えるのを見るのも、読み返すのも
二人にとっての喜びへと変わっていた。

そう、
二人は互いに惹かれあっていた。












数ヶ月後。
鈴は静かにベッドに横になっていた。
その隣には、紙飛行機

紙飛行機を蓮に渡し始めてから
鈴の体には“管”が増えていた。
点滴の本数も増え、歩くのもキツくなっていた。
目も見にくく、耳も普通より聴きづらい。
鈴の体は日に日に酷くなるばかりだった…。

「手紙を…書かなくちゃね
今日は、私が渡す日だわ…」

頬を赤く染める。
鈴はただ、蓮のくれた紙飛行機を読み返していた。








「…!もう一度…言ってください…先生!!!」

鈴の父は絶句していた。
鈴の担当医が、鈴の父が一番聞きたくなかった事を伝えたのだ。

キィと椅子を鳴らして医者は父の方に向き直る。
そして、咳払いを一つ。

「お父さん…鈴さんはもう多分…あの部屋から…生きては……」

「そ…んな……」

「残念ですが…」

父は医者に一つ頭を下げ
廊下へと出た。

そして、鈴の病室に戻る時に幼い鈴に
この事実を話すべきか話さないべきか考えていた。

父は懐から妻の写真を出すと
撫でるように触った。

「ディア…鈴を連れていかないでくれないか?」

そして決心をした。
事実を告げようと―――。















鈴の病室のドアの前に立ち
父は深く深呼吸をしてからドアを開けた。

「鈴……ちょっと話があるんだ」

鈴は笑顔で父の方を向く。

「なぁに?パパ」

あぁ…
この娘を私の元から消さないでくれ
ママの元へ行かないでくれ……!
…………鈴。

父は小さくか細い声で
鈴の体を強く強く抱きしめた。

「やだ、パパ〜苦しいよ」

鈴は、父にされるがままだった
そして父は話を始めた。

「鈴…お前はな…―――――」







「……そっか………」

鈴の笑顔が涙に変わった。
















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