―――2―――


なんて、僕は中途半端なのだろう。
光でも闇でも無い。
舞桜のたった一言に、僕は
酷く落ち込んでいた。

「……だから、光じゃないと深淵達が解った時にはきっと輝翔は解放されます」

舞桜は喋り続ける。
僕は、それに反論した

「その言葉を素直に受け止めるとさ
舞桜は自分を犠牲にしてくださいって言ってるようなもんなんだけど…」

僕には、それも許せないし
その状況になった時に、僕には舞桜を助けられる光[ちから]も無いのか…。
なんだか、どんどん気が滅入る。
きっと、これは、あの桜の花弁が
散っているから。
………って、思うしかない。

「ごめんなさい。輝翔
そんな、つもりでは…」

「うん…僕も言い方が悪かった、ごめん」
僕と舞桜は沈黙した―――。
















――――。
で、結局どちらともなく
「深淵使い」の事に触れられないまま
数時間…。

もう、外の風は止んで
桜の花弁も落ちなくなった。
闇の被害は無いのだけれど。

気まずい……。

そう思った時に、僕の携帯が静かに鳴った。
相手は知聡。

「知聡か…出てもいい?舞桜?」

舞桜は静かに頷いたので
僕は、電話に出た。

「はい、どうした?知聡」

『今、お前の家の目の前だよ』

………………はい?

『びっくりして、ぐうの音も出ないか』

何時も、何時も知聡は
突拍子も無い事をし出すが。
さっき、帰った筈じゃ…。
家に帰れ!と言って帰る知聡では無い事を僕は小さな頃から知っている。

僕が電話口であれこれ、どうしたものかと考えていると。

『ぁ〜輝翔のおばさんこんばんは!
なぁ、輝翔!お前ん家って花の香りするな』

勝手に家に入って来やがった。
僕の母親の笑う声が電話口から聞こえる。

「てっ………てめぇ!!そこから一歩も動くな!!!!いいな」

『…おーこわ』

電話が、切れる前
彼奴笑っていやがった…。

僕自身の右の頬が怒りと呆れで
ピクピクと動いているのが自分でもわかる。
でも、今はそれよりも舞桜をどうするかだ…

「輝翔、どうしました?」

珍しく、大声を出した僕に
舞桜がそろりと様子見で話しかけてくる。
僕が少し微笑むと、舞桜も微笑み返した。

あぁ、可愛いな。
………とか、思ってる場合じゃないんだった。

「舞桜!僕の馬鹿でアホでとっても大切な親友が今家に来てるんだ
だから、ごめんまた明日会おう
話の続きはその時に!!」

「誉めてるんですか?それともけなしてるんですか?
分かりました。また、明日」

そう、舞桜は笑いながら言うと
窓から、飛んで行った。

開け放たれた窓から、舞桜の後ろ姿を見て毎回思うが、
羽も無い舞桜はどうやって飛んでいるのだろうか。

「綺麗だよな…」

ふと、口からその言葉が出ていた。
すると、後ろから…



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