―――1―――


窓から見える桜吹雪。

「闇」を漂わせながら
桜の木は鳴いていた。

桜の花弁を散らしながら
恐怖を桜の花弁(自身)に乗せて鳴いていた。

それでも、自分の身を削ってでも
闇を外に出そうとしても、後から後から闇は桜の木を苦しめる。

「僕の…せい?」

僕はそう思った
舞桜は隣で首を横に降っている
そして、悲しそうな目で桜の花弁を見つめている。

「輝翔のせいではないです
もし、誰かのせいにしてしまうなら
輝翔をこんな事に巻き込んでしまった私なんですから」

窓から見える桜の木から目をそらし
舞桜の顔を見た
苦虫を噛み潰したようなそんな顔をしていた。

「僕は前にも言ったよ
舞桜のせいなんかじゃないって
ただ、こうなったのは必然で
僕は平凡を取り戻すために
自分の運命を変えてやるんだ」

そう。必然なんだ…
僕は、その「必然」と言う言葉を何度も何度も繰り返す。
僕のさっきの言葉も間違っていたんだな。

まだ、舞桜はうつ向き今にも……
舞桜のそんな顔を見たくはなかった
僕は静かに舞桜を抱き締めて
舞桜の顔を隠した。

桜の花弁が一枚頬を撫でていった
ちりっと少し痛い気がする

「僕等は…この桜の花弁の闇に少しあてられたみたいだね
あんなに綺麗な桜なのに
悲しみを振り撒いているだけなんだから」

僕は頬に手を当てて少しさすった

「そうですね…」

暫く、舞桜を抱き締めていて桜の木から目を離したのがいけなかった

桜の木の所に誰かいる?
2人…?八尋…と

「舞桜……!
あれ、八尋と…誰?
そこ、桜の木のとこ」

舞桜は桜を窓から身を乗り出して見たが
僕の期待した答えが帰ってきたわけじゃなかった

「…輝翔?誰も、八尋もいないですよ?」

「え?そんな…」

僕はもう一度桜を見たが確かに
八尋ももう一人見えた誰かも居なかった

だとしても、僕にはとても後味の悪いものになった………

気になってはいるものの、まずは
桜の木の助け方を教わらなければ…

僕は、2つ深呼吸をしてから
窓を閉めた
閉める時に見えた桜の花弁は
あんなに綺麗なのに
とても、寂しく見えた。

「舞桜、桜を助けるには僕はどうすればいいの?」

率直な質問だ
助けるにもやり方もわからないで突っ走るなんて事してはいけない。

舞桜は少し悩んだように首を傾げながらも
ゆっくり、話始めた。

「…あの、輝翔の受ける「闇」を全て取り込む力をつけた「深淵」がいます
こう言った、難易度の高い術は上級の深淵使いしか出来ません…」

舞桜は言葉を切って、息を吸い込む

「その、深淵使いを倒すしか手っ取り早い方法はありませんね!」

舞桜は右の手のひらを拳にして
上に突き上げなからそう言った。

いやいや、とすかさず僕が反論を告げる。

「その深淵使いって「人」なのか?
と言うか、人であっても人じゃなくても
僕は人だし、僕がその深淵使いの闇にあてられたら意味がないんじゃ…
その、僕の闇は桜に行くんだろ?」

舞桜は苦く笑った
そして言った。

「誰が、輝翔を一人で戦わせるなんて言いましたか?
それに、深淵使いはその力が強いので
元の人の形を取らないとも聞きます」

それを聞いた僕は頬を染めながら頭を掻いた
それに僕は安心していた
倒さなければいけない相手が“人”だった場合きっと僕は戦えなくなる
そう思ったからだった。
それに、と舞桜は付け加えた

「輝翔の擬似光は私の近くに居たせいで
擬似光ではなくなりつつある程の「光」を放っているんです
…ですが、やはり擬似光は擬似光なんです
だから、貴方は「光」じゃない」

僕は舞桜が何を言いたいのかわからず首を傾げた

「結局、輝翔は疑似光なんです」












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