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「うん、犯人はいなかったんだ」

僕は、知聡に言った。

「変だろ…清水だけで屋上にいるなんて
輝翔の事が憎くてやった事じゃないのか?」

知聡は言った。

僕は、知聡に嘘をつく
わかってもらえる限度があるからだ。

知聡にとったら舞桜も八尋も見えないし
“闇”や“光”なんて言っても
信じるのは難しいだろう。

保健室で起きた清水もどうして自分が今保健室に居るかをわかっていなかったから
“清水は屋上で誰かに眠らされていた”
と言う事にしておいた。

「知聡、僕さ職員室行かなきゃいけないんだ…
どうして授業サボったか教えに行かなきゃそれに清水…」

僕の話を遮って
知聡はすっと目の前に手を出す

「大丈夫、そんな事もあろうかと
先に先生に話しておいたから
後は軽く先生と話して終わりさ」

知聡に色々感謝だ。

「助かる!!
それじゃ行ってくる」
















………まぁ結論から言えば
怒られはしなかったし
知聡がうまく丸め込み、今回の件は無しにしてくれた。
けど酷く心配された、清水も知聡も僕も


『巫になにもなくてよかったよ』

先生のこの言葉が知聡の言葉に重なった。

『輝翔に何かあったら、先生や碧空高校の生徒全員に被害があるから』

頼りにされているという事の実感とともに
僕がいないと、纏まれないのか?
と言う寂しさもあった。

僕はまたこの学校を成長させたい部分が出来た
トップがいなくても纏まれる学校を作ろう。








先生の話が終わり
僕と知聡は保健室へ急いだ
清水を保健室に置いたままにしてしまったからだ。

「清水、待ったでしょ帰ろうか…」

清水はニコッと笑いながら頷いた。




保健室を出た僕等は
夕日が照らしている廊下を歩いていた
知聡と清水が先に歩く廊下を
ふと、立ち止まり
窓の外の夕日を見る
静かに僕は呟いた。

「夜が、来る」

耳鳴りが聞こえる、耳鳴りの中に八尋の笑い声とあの時の





『 ム カ ツ ク 』





が聞こえた気がして僕は耳を塞ぎ
止まっていた足を動かしはじめた。

早く、早く…
舞桜に逢いたい

何故かその思いが強かった。
















「私は、一体誰に眠らされていたんだろうね…」

清水は僕等に静かな声で言った
僕は真実を知っているが
清水にとったらただの怖い事件だ
僕は清水のその質問になんて答えれば良いのかわからず
しどろもどろしていると
知聡がフォローをしてくれた。

「わかんねぇけど…俺等の側に居ろよ今度は守ってやっからさ」

知聡は軽く清水に言った

「うん、ありがとう高梨君」

清水は少し照れたように下を向いたが
嬉しそうだった。




その後もつまらない話や
演劇部の話で盛り上がったりした
ちょうど、二人と別れる道についた僕は
二人に手を振り ダッシュで
桜の木に向かった。






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