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気が付けば、僕は保健室のベッドて横になっていた。
ベッド横の椅子に
知聡の鞄が置いてある。
知聡が近くに居るのだろうか?

「知聡?」

呼んでみるが返答無し
トイレにでも立ったのだろう

僕はベッドから立ち上がり
窓に近付く
夕陽が落ちかけてる。

暗くなる前には帰りたい…

コンコンと軽いノックの音
それと共に
知聡と京子先生が入って来た。

「あっ、目を覚ました?巫君」

「大丈夫か?輝翔!」

「あ…あぁ…部活は?皆は?」

「今日は皆解散したよ」と知聡は教えてくれた。
それから、僕が意識を失っちゃった事で
皆パニクって
先生が落ち着かせた事や
知聡が保健室まで僕をおぶって来てくれた事
そして、僕が起きるまで待っててくれた事。

今日は知聡には頭が上がりそうもない。

「もう動けるわね?
本当に貴方達にケガがなくてよかったわ
遅くなるから、二人とも気を付けて帰りなさい
証明の件はこっちで片付けておきますから…」

「そうですか…
ありがとうございす先生」

先生に一礼をすると僕は保健室から
知聡の手を引っ張って出ていった。











「輝翔?」

正門の近くまで何も喋らなかった僕に
知聡はこそっと喋りかけてきた。
僕は知聡の方も向かずに
小さな声で「助けてくれてありがとう」と言った。

それに知聡は気をよくしたのか
僕の頭をぐしゃぐしゃっと手荒く撫でた。

その間も、僕は知聡を見れなかった
僕は普段お礼を言われる側だから
お礼を言う事が無いのに等しい。

そんな僕を知っている知聡は何も言わずに頷いてくれていた。
僕は顔を真っ赤にしながらも
もう一度お礼を言った。

「知聡…
僕…知聡に相談がある」

元々、知聡には朝あった話をしようと思っていた
今が丁度良いタイミングだと思う。

「?」

あの女の子の事
闇の力、僕が持ってるらしい光の力
闇から逃げられなくなった話
女の子に助けてもらった事
闇が怖かった話

けれど、






あの桜の木の話は何故か
知聡にはしなかった。






知聡は真剣な顔をして聞いた後
静かに口を開いた。

「要するに…だ
なんだぁ、輝翔の命が、危ないと
彼女はそう言いたいのかな?」

どうやら、知聡はこの話を信じてくれているようだ。
持つべきものは知聡だな。

「いや、僕は
あの女の子が、僕を狙ってるんじゃないのかなって思ってるんだけど…」

僕は僕が思った意見を述べたが
知聡から否定を受けた。

「いや、普通
命を狙ってる奴に分かりやすく「貴方は狙われてる」なんて言うか?」

……まぁ確かに
普通の人なら、警戒して中々殺しにくい状況になったり
僕みたいに友達に相談するやつもいるし
後々面倒な事になるだろう


話し込んでいるうちに
僕の家に着いてしまった

「今日はとにかく休め
明日また話そ…な?
それに、俺が守ってやるから」

頼もしい知聡の言葉に僕はほっとした。

「うん、送ってくれてありがとう」

知聡が軽く肩を叩いて
僕に背中を向けて帰っていく
僕は知聡の背中が見えなくなるまで
玄関には入らなかった。


どうしよう
今日、母さんパートの日だから帰り遅いや…


自分の部屋に入り
薄暗く、なる空に目をやりながら
僕は電気を灯した。











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