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「貴様何者か!!さては真選組のまわしものかっっ!!!」


「くそっ!真選組め!」




いやっっ!!!違うから!!!先ほどの会話からして、物騒なことを言ってたしこいつらは攘夷浪士か何かだろうと思う。となると厄介なことになったなぁ…。


すると、叫んだ浪士が刀を抜いた。後に続くように、他の浪士たちも次々と刀を抜いていく。私はとりあえずさっき倒れた竹を一本掴み臨戦態勢にはいった。











・・・ってのんきに解説している場合じゃなよ!自分!!!


『ちょ、ちょっと待ってくださいよ。別に私は真選組じゃないですからっっ!!てか、あんなチンピラどもと一緒にしないでくれませんかねぇ!!』



もちろん、真選組の評判は自分の田舎にもちゃっかり届いていたのだ。よって椿の耳にも真選組が起こした事はよく聞いていたのだ。どこぞのビルを壊しただの、攘夷浪士との戦いでの過激な行動だの、何かと情報は自然と入る。

『だいたい、真選組とかだったら刀とか帯刀してんでしょうが!!!見ろっっ!!!丸腰だろうが!!!』

「だまれ!そこで盗み聞きをしているほうが怪しい!!」


「さよう。しかも先ほどの会話を聞かれてしまっていればこちらの都合が悪いからな。」


「よって生きて帰すわけにはいかん。これも国のため…」



最後の浪士が言い終える前に椿は自分の脳の血管が切れる音が聞こえた気がした。


『んな横暴認めるか!!!罪無き一般市民を殺して何が国のためだ!!ふざけんのもたいがいにしやがれコノヤロー!!!!』


椿は目の前にいる浪士たちを一人一人睨むように言った。とても少女の迫力とは思えない迫力に若干浪士たちがうろたえたがすぐに気を取り直す。


「う、怨むならこの国に天人を入れた幕府を怨めっっ!!」


「小僧、国を救うには犠牲は必ずつきものな――――グハッ!!」



ゴシャァァァ!!と路地裏に音が響いた。もう夜だし近所迷惑にはならないだろう。うん。大丈夫だ、問題ない。


浪士は最後まで言葉を発せずに椿がかまえていた竹で思いっきり浪士をぶっ飛ばした。




『国を救うだぁ…』


椿はおもいっきり溜息を出しながらしゃべりだした。


『もうさぁ…地図は電車に置き忘れるしぃ…道には迷うし、すっかり夜だし、変な理屈押しつけられるし、おなかすいたし、殺されそうになってるしぃ…。今日の宿捜してないしぃ、まさかの今日も野宿決定の可能性大だしい…。』




あれ?半分は自分のせいじゃね?という突っ込みは、ただ今受け付けておりません。この際全部浪士共のせいにして八つ当たりでもしてやる。


椿は竹をしっかりと掴み直して切っ先を目の前にいる攘夷浪士共に向けた。


『それから、自分は正真正銘の女じゃコラァァァァァァアアアアアア!!!!!!!』




最後は小僧呼ばわりされたことへの痛烈な思いだった。これでも純粋な女の子のつもりだぁぁああ!!!確かに出っ張るとこあんまり無いけどさっっでも、あくまでもあんまりじゃん



叫んだと同時に椿は浪士たちに飛び込むような形、敵陣にで突っ込んでいった。


「な、なんだこのガキ!?めちゃくちゃな戦い方しやがる―――ぐふぅ!!」



椿の戦い方はまるで







「なっ早いっっ!?ぐはっ!!!」





獣のように速く





「バ、バカ強ぇぇぇぇえええええっっ――ぶべらっっ!!!!!」







蝶が舞うように美しかった。













「はぁ・・・。総悟の奴またどこへ行きやがった。」





真選組副長土方十四郎は、夜の街歌舞伎町を見回りしていた。もちろん「土方さん、俺ちょっとウンコしてきまさぁ」と言って一向に帰る気配の無い部下の愚痴を言いながらだ。


「たくっいつもさぼりやがって。」


そうぼやきながらタバコに火をつける。ぷかぁとタバコの紫煙を吐き出しそのまま路地裏へと入って行った。




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