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「それって、仁王先輩の言ってた“マル秘特典”ってやつじゃないっスか?」


切原くんがそう言い出すと、美岬もジャッカルくんも、あー!と結び付いたようだった。


「そういえばミーティングのとき言ってたね!マル秘だって!」

「結局中身は何なんだろうな」

「うーん…マル秘ってぐらいだし、現金が入ってたりすんじゃないっスか?」

「まさかー!幸村くんからも許可もらったって言ってたよ?」

「いや、仁王と幸村ならあり得るぜ。あいつら共謀するとすげーからな」


ワイワイと3人で楽しげに想像を膨らませているけど。
すでに中身に予想がついた私としては、当たらずとも遠からずだと思った。

3人は、この封筒の中身はそれほど気にならなかったらしく、それよりも仁王くんと幸村くんが手を組んだらいろんな犯罪が可能になるんじゃないかって、そんなひどい話に移行してた。

そして私はこっそり、みんなから見えない物影へ移動。
封は元から開いてるし、一目見るだけだからと、心の中で誰かに言い訳をした。

出てきたのは、なんと丸井くんの写真。制服姿、ユニフォーム姿、私服姿、お菓子を食べてる姿、昼寝している姿、旅館かどこかの浴衣姿……そして水着姿…!なんなの、このお宝!ちょー欲しい!

仁王くんの言ってた“マル秘特典”という景品の全容がよーくわかった。
さっき、切原くんの叫び声とともに私が見つけたのは、この手紙の1つに“立海詰め合わせ@”と書いてあったからだ。よく見ると他のものには、“青学詰め合わせ”や“氷帝詰め合わせ”、“部長スペシャル”、“跡部スペシャル@〜B”だとか書いてある。

つまり仁王くんの用意した景品は、他校含めた人気テニス部男子の生写真、というわけだ。ちなみに隈なく見るも、仁王くん自身の写真は一切なかった。ちゃっかりしてるなほんと。


「あれ、真帆ー?どこ行ったー?」


美岬の呼ぶ声が聞こえ、慌てて写真をしまい、こっそり元に戻した。


「どこ行ってたの?」

「いや…、ちょっと、メール打ってて…」

「?」


これは知られないようにしたい。知られる前に事を済ませたい。美岬はいいけど、ジャッカルくんや切原くんには。


「ね…ねぇねぇ、お客さん、全然来ないよね?」

「そっスねー」

「暇でいいけどねー」


2組か3組くらいは来たけど、それ以降は全然。文化祭リーダー、しかもゲームチーム責任者として由々しき事態だけど…。

それよりも今は頭がいっぱい。これからすることに対して。


「……じゃあ私、このゲームにチャレンジしても…い、いいかな?」

「あ、真帆やる?あたしもそのうちやろっかなーって思ってたんだよね!」

「おーいいじゃないっスか、暇つぶしってことで!当番の特権っスね」

「あ、お金はちゃんと払うよ!」

「タダでいいだろ。客も来ねーし」

「いやいや、そんなタダでもらうなんて悪いから…」

「「「もらう?」」」

「あ、何でもない!」


私がそんなこと言い出すなんて意外だと思われやしないか、ちょっと心配だったけど。案外この3人はあっさり盛り上がってくれた。

私だって別にこのゲームがやりたいわけじゃない(ごめんなさい)。
この、マル秘特典“立海詰め合わせ@”が欲しくて…!一緒に入ってるジャッカルくんや柳生くんの写真はいらないけど。

マル秘なのに中身を知ってる時点で卑怯な気もするけど。
球技大会以来かもしれない。緊張と本気の混ざった気持ちで、ゲームに挑んだ。
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