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「ほんとーに、すみませんでした!」


私はけっこう吹っ飛び、そのまま担任に連れられ救護室へ。先生には安静にしてろと言われ、氷でおでこを冷やしながら休んでいた。
しばらく経ってもう試合は終わったらしく、私にボールを当てたという2年生の男子(この子もテニス部の子だ)がわざわざ謝りに来てくれた。


「ううん、私がちょっとぼーっとしてたから」

「ほんとにすみません!治療代ちゃんと払います!」

「そんな、大丈夫だよ。気にしないで」

「いや!僕が先輩に殺されるんで!」

「?」


そこまで怖い先輩なんていないと思うけど。真田くんぐらいかな、たるんどる!って。それも、むしろ私が言われちゃいそうだし。

…真田くんといえば。丸井くんの対戦相手は、真田くんのクラスだ。結果はどうなったんだろう。見たかったなぁ。

そのとき、美岬からのメールが届いた。そのメールには、決勝と3決の試合結果が書かれていたのと。


“今ちょうど表彰式だよ〜”


試合はまだしも、表彰式ぐらいは見たいと思ってた。丸井くんのことだし、きっとクラスの代表かなんかで表彰台に上がるんじゃないかって。どさくさに紛れて写真撮っちゃおっかななんて。

安静にしてろって言われたけど。でも、このままここにいたらすごく後悔しそう。そのときの気分の落ち込みを考えると、今絶対に行ったほうがいい。

一応、おでこに氷を当てながら走ったのと、もともと走る系のことは苦手なので、急いでるつもりでも遅かったんだろう。

表彰式の会場である体育館前に着くと、すでに終わったのか、ぞろぞろと生徒たちが出てきてた。…ああ、終わっちゃったんだ。


「お、成海。もう大丈夫なのか?」

「真帆!」


ジャッカルくんや美岬たちI組のみんなもぞろぞろ出てきた。私を見るなりみんな一様に心配してくれた。


「うん、大丈夫。ごめんね、応援できなくて」

「いや、それはしょうがねぇだろ」

「でもちゃんと、男子が真帆の仇とったからね〜!」


仇はともかく。うちの男子は見事勝利したそうだ。それがすごくうれしかった。3位なんてほんとにすごい。勝った瞬間や表彰式に立ち会えなかったのは残念だけど。
中学最後の球技大会で、大事な思い出ができた。


「じゃ、教室戻ろっか」

「うん。…あ、そういえば私のタオル」


忘れてた。バレーの応援してるときに手で持ってたんだけど。ボール当たった瞬間にたぶん落として、そのままだ。コートの近くに置いてあるといいけど…一応名前は書いてあるし、捨てられることはないだろう。


「忘れ物したからちょっと先に行っててー」

「はーい」


もう生徒は大半が外に出てきてた。
その流れに逆らうように体育館内へと戻った、そのとき。

トントンっと、誰かに肩を叩かれた。
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