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うちのクラスは、女子のソフトボールもバスケも一回戦負け、男子はサッカーが二回戦まで進んだけど、負傷したジャッカルくんの不在が響き敗退。

でもみんな頑張ったから。負けても、やることなくなっても、清々しい気分だ。


「何言ってんの!まだうちらには応援があるじゃん!」


そう、男子バレーはなかなか頑張ってて、準決勝で負けたものの、最後に2年生との3決が待ってる。

そういえば。大会本部に貼り出されたトーナメント表を見たけど。

“ バレーボール(男子)
決勝戦:3ーA 対 3ーB ”

丸井くんのクラス、男子はバレーボールのほうが勝ち残ってるんだ。ソフトボールもバスケも勝ち残ってるし、さすがB組って感じだ。でもサッカーだけ私が見る前に敗戦しちゃって、丸井くんはサッカーだろうし、それが残念だなぁ。

3決と決勝戦は体育館内にて、隣同士のコートで行われる。私はもちろん、第二コートのI組の応援。丸井くんも隣の第一コートで、クラスの応援に来るかもしれない。

…隣とはいえ、B組のほうを見ると自分のクラスに背を向けることになってしまうので、丸井くんがいるかどうかもわからないかもしれないな。決勝は観戦者も多いし。


「それでは始めます!」


ほとんど同時に始まった決勝と3決。うちの円陣が終わったあと、ちょうどB組が円陣を組んでるのが視界に入った。


「B組ーファイッオー!」


…あ、今、たくさんの気合の入った声の中に、聞き覚えのある声が。きっと丸井くんだ。応援に来てる。

頃合いを見計らって、B組の試合に目を向けると。


「ナイッサーブン太〜!」


丸井くんが普通に試合に出てた。おまけにいきなりサービスエースを決めてた。

…あれ!?丸井くんサッカーじゃなかったの!?でも確かに、本人や誰かからそう聞いたんじゃなくて、私が勝手に思ってただけだけど…!

もう一度丸井くんがサーブに向かおうとしたとき、仁王くんが丸井くんに何か話しかけてた。…仁王くんもバレーなんだ、意外。保健室でサボってそう。


「ブン太、チャンスじゃき」

「ん?チャンス?」

「こっち見とるぜよ。イイトコ見せんと」


よく聞こえなかったけど、また意地悪なことを言われたのか、丸井くんはボールをドッジボールのように仁王くんに投げつけ、審判に注意を受けた。そしてそのあとの丸井くんのサーブは、楽々アウトへ。

お前のせいだ!と丸井くんが仁王くんに詰め寄り、B組やその他の観客たちからは笑いも起きてた。ちなみに相手コートの真田くんからは怒声が飛んだ。

やっぱり人気だよなぁ。恋愛問わずみんながみんな丸井くんのこと好きって感じだもん。男子も女子も。そしてやっぱりカッコいいよなぁ。
…あ、丸井くんの“鉄柱当て”が決まった!完璧だ!あの名台詞が聞けるかも!“どう?天才て……”、


「真帆〜」

「…はっ」

「王子様もいいけど、こっちも応援してね?」


ニヤけた美岬に脇腹を突かれ、私は自分の体の向きが、完全にI組に背を向けていると気づいた。…おまけにI組負けてるし。


「ご、ごめん!今から全力で応援するよ!」

「まっ、すぐまたあっち見ちゃいそうだけどね〜丸井くん活躍するだろうし」


美岬の言葉にはかなりな説得力がある。今だってキャーキャー言われてる。
でももう諦める。カッコいい丸井くんは惜しいけど。すごく見たいけど!私はI組なんだから、I組男子の試合も大事だもん。

…とはいえ。


「きゃーブン太くんカッコいい!」

「あははっ仁王ちゃん、もっとやる気出してー!」


背後から聞こえる声の数々。気になる、すごく気になる。やっぱり人気者だからなー…あー……。


「危ないっ!!」


目こそI組に向けていたとはいえ、意識は完全に背後に向かってた。

だから、自分の顔面にボールが当たった瞬間に、その事態に気づいた。…星がチカチカするってほんとなんだなー。
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