09


さっきのことは私の中で、すごくすごくうれしいことだった。
でもそれが吹き飛んでしまうぐらい今、緊張してる。


「うわー、B組の応援、全員参加じゃん」

「全種目優勝する気満々って聞いたわ」


噂では聞いてた。B組は、うちの学年で最も団結力があると。男子は丸井くんや仁王くんなど、華やか系男子がいるし。さらに女子は、運動部の部長などのリーダーシップのある子や、学年でも目立つタイプの女子グループが揃ってて、普段からも元気いっぱいで楽しそうなクラスだ。


「絶対勝つッ!」

「「「オウ!!」」」


今も女子中心にクラス全員で円陣組んでるし。
対してうちは……。


「よーし、みんな頑張ろー!」

「おー」

「頑張ろー」

「女子頑張れー」

「ケガしないようになー」


なんか全体的にふわっとしてる。みんな協調性はあるんだけど、自己主張が強い人はほとんどいないし。運悪く女子バスケと時間が被っちゃって、男子の応援は半分の、サッカーチームのみ。

おまけに。


「ストライク!」


打席に立って初めて知ったけど、B組ピッチャーの子はめちゃくちゃうまい。一応所属してる部活の種目には出られないから、別にソフトボール部ってわけじゃないけど、学年でも指折りのスポーツ女子だった。速くてストライクばっかり。

さらに私は、もっともっと気が散ってしまうことがある。
それはもちろん、丸井くんが見ているということ。


「バッターアウト!」


というわけで私は、1回表の初打席であっという間に三振に倒れてしまった。ちなみに1番。トップバッターというのも最悪。

ああもう、恥ずかしくて死にそう。バット振っても当たんないし、空振りばっかり。
その後の2人も三振やゴロに倒れ、これから守備の時間。

打撃のほうも、B組の子たちは素振りとかめちゃくちゃしてて脅威だったけど、美岬もなかなかの好投。
でもエラーもあったりして、1回裏2回裏、合わせて3点を取られてしまった。


「よしよし、勝てるよ!」

「このまま0点に抑えよう!」


この試合は3回まで。表のI組がこの回も0点なら、そこで試合は終了だ。
もうすぐ勝利というムードもあり、もともと盛り上がってたB組は、さらにお祭りのような騒ぎになってた。

それを私は聞いてただけ。B組ベンチ側を見ることはできなかった。
声は聞こえてこないけど、丸井くんもきっとめちゃくちゃ喜んでるだろうし。女子とハイタッチとか、肩組んで応援とかしてるかもしれない。

そんなの見たら、きっと今以上に落ち込んじゃう。…丸井くんは自分のクラスだからそれが当たり前なのに。やっぱり自己中だ、私。
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