07


球技大会当日。朝、教室で配られたトーナメント表を見て、私は絶望している。

“ ソフトボール(女子)
一回戦:3ーI 対 3ーB ”

1年生から3年生までごちゃ混ぜのトーナメントで、各クラスの体育委員がクジ引きをしたわけなんだけど。だから文句なんて言えるはずないし、クジ引きだからただの運なんだけど。

男子サッカーどうのじゃなくて、私自身が丸井くんのクラスと対戦なんて…!もし同じ時間に男子の試合がなければ、きっと女子の応援にくるはず。

丸井くんが私の試合を見る。…いや、まったく丸井くんの視界に入れさせてもらえないかもしれないけど。
…あ〜緊張する!すごく緊張する!


「真帆、うちらの前に男子のサッカーがあるから応援行こう!」

「う、うん!」


そんなそわそわ落ち着かない気持ちで応援に向かう。本日最初の男子サッカーの試合は、うちのクラス対2年D組。

グラウンドに向かうと、ジャッカルくんたちサッカーチームがウォームアップをしていた。
もちろん他にも体格のいい人はいるけど、やっぱりジャッカルくんは抜きん出てる気がするな。ブラジル出身ってこともあってか、ほんとにサッカー選手みたい。


「頑張ってー!」


まもなく試合が始まった。ベンチのところで他の女子たちと一緒に声を出して応援していると、相手の2年生チームに見覚えのある子がいた。
男子テニス部の切原くん。対戦相手だけど仲良しな切原くんとジャッカルくんは、お互い自分のチームを引っ張る中心プレイヤーだ。


「お、サッカーもう始まってんじゃん」

「ジャッカルも赤也も出とるのう」

「二人ともサッカーが得意ですからね」


明るくて少し高めのよく通る声。私の大好きな声。騒がしいグラウンド内でもいろんな人の声が聞こえても一際目立つ。その声がしたゴール裏のほうに目を向けると。
丸井くん、仁王くん、柳生くんがいた。

…そうか!ジャッカルくんはもちろん切原くんも丸井くんは仲がいいわけだから、こうやって試合観戦に来ているわけで…。


「真帆、丸井くん来てんじゃん!」

「うん…!」


辺りは騒がしいけど、うっかりうちらの声が聞こえないように、なるべくはしゃがないように、目立たないように。
…でもやっぱり目は丸井くんに向かっちゃう。チラッチラッと見ると、丸井くんは楽しそうに観戦している。切原くんが転んで、ダッセー!って笑ってる。

そのあと、ジャッカルくんがヘディングでゴールを決めた。


「やったー!ジャッカルくん!」

「ジャッカル!ジャッカル!ジャッカル!」


ピッチ内もベンチもI組一同すごく盛り上がった。私も大興奮。同じクラスの男子たちが活躍するなんて、すごくうれしい。
…ただちょっと、気になった。ジャッカルくんが少し足首を回してる。もしかしてさっきヘディングでジャンプしたとき、着地で足捻った?


「ごめん、ちょっとだけ抜けるね!」


美岬に声をかけ、その場を離れた。
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