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球技大会から数日後。丸井くんとはなかなか会うこともないし、ましてや二人で話せることなんかない。もうちょっとあのとき会話ができてたらなーと、ちょっと悔しく思う。
今は期末テスト前で、もうすぐ夏休みっていう時期。このまま夏休み突入なんて、初めて夏休みが恨めしい。
そう思って机で一人ダレていると、ジャッカルくんに話しかけられた。
「成海、ちょっといいか?」
「うん?」
「来週の土曜日の夜って空いてるか?」
「来週…」
来週というと、もう夏休みに入ったあとだ。日中に部活はあるけど、夜に予定なんてそうそうない。
でも、一つ思い出した。来週の土曜日と言えば。
「あ、花火大会の日?」
「ああ、あそこの」
学校近くの海岸で、毎年恒例の花火大会がある。わりと大きな花火大会で、出店もたくさん。私も去年、部活帰りに友達と寄った。今年もそうかなーと薄々思ってたけど。
「もしかしてもう予定入っちまってるとか…」
「ううん、決まってるわけじゃないけど」
わけじゃない、けど。…え?まさかジャッカルくんに花火大会誘われてる?……え?ジャッカルくんに?
「あーいや、俺が誘ってるわけじゃねぇんだけど」
「?」
「その…、テニス部のやつらと行こうかって話になってよ、そんで誰か女子もって…」
ジャッカルくんはしどろもどろにそう話した。だからって、そこまで仲良くない私がなぜ選出されたのか、謎だ。同じクラスだから?同じテニス部だから?
テニス部のやつらってことは。ジャッカルくんがいるなら、ほぼほぼ、丸井くんも来るんじゃないだろうか。
「…み、みんな行くなら私も行くよ」
「お、マジか?よかった…誘うの失敗したら何言われるか…」
「え?」
「いや!何でもない!」
今日のジャッカルくんは変だ。所々しどろもどろだし、たった今はすごく安堵した顔をしてる。
「ところで、他に誰がいるの?」
「えーっと、うちのレギュラーが3、4人だな。あ、後輩も一人来ると思うぜ」
「けっこう少数なんだね。女子は?」
私のその質問にジャッカルくんは、は?って顔をした。いや、男子はだいたいわかるけど、女子も気になるのが当然だ。女子もたぶんテニス部なんだろうけど…。
「女子は仁王か赤也が誰か誘ってんじゃねぇか?」
「…は?」
「いや、俺はお前を誘うように言われただけで…」
「誰に?」
「誰にって…ま、まぁそれは置いといて」
なんだその曖昧な感じ。というか、私を誘えって、一体誰に?
よくわからなかったけど。ジャッカルくんに、俺にもいろいろあんだよとかなんとか言われて、このときこの話は終了した。