03 集められた問題児

あーあ、だる。足痛。

朝は調子よかった。今日は朝練なくてちょっと遅く起きて、ご飯は俺の好きな白味噌の味噌汁。星座占いも割とよかった気する。

なのに。



「仁王、こっちへこい。」



朝、校門で待ち構えてた。鬼。更け顔。
風紀委員なんか大嫌いじゃ。



俺以外にも何人か、引っ掛かったやつはおって、一同に会議室に呼び出し。正座をさせられ説教を受けとる。

パッと見渡すと、同じテニス部の丸井もいた。そりゃ俺引っ掛かって赤い髪引っ掛からんかったら、PTAに抗議じゃ。



「まったく、お前たちのそのたるんだ風貌はなんだ!」



否定はしないけど。
正座に説教はマジ勘弁してほしいのう。



「あのー…、」



真田の説教がガオーと響く中、女の声が聞こえた。

あれ、どっかで聞き覚え…、



「そろそろさ、終わりにしない?」



悪怯れもせず、正座が限界だったんだろう膝で立つ女。

…あ、やっぱ。

みんなが注目する。



「あたし今日、英語当てられてんの。でもまだやってないの。辞書忘れちゃったから時間かかんの。だからもう終わろうよ。」

「む!それもたるんどる!」

「あー!」



思い出したように叫んで立ち上がった。丸井だ。



「俺も数学やってねぇ!やべ、ジャッカルんとこいかねーと!」

「お前もたるんどるぞ!いつもいつもジャッカルに…、」



それを皮切りに、みんな騒ぎだす。あーあれやってない、これ忘れた、とか。

こんなとこに呼び出されてるやつらはやっぱ、そんなもんじゃろな。



―キーンコーンカーンコーン…



そうこうしてるうちに、予鈴が鳴った。真田も渋々、解散させた。

みんなガヤガヤ帰りだす。
丸井はまだ真田に説教されとるけど。

ほっといて、探した。あいつ。
急いでた割に、まだ膝で立ったまま腕を組み、困った顔しとる。



「早く帰らんと真田に捕まりますよ。」



目の前にかがんだら。ビックリした顔。

そりゃそうじゃろな。俺が英語の電子辞書差し出したから。

別に成績悪くないが、3年の英語はわからん。手伝ってやれんし。



「貸してくれるの?」

「パクらんなら。」

「ありがとー!」



初めて笑顔見た気がした。今までは笑っててもアホみたいな笑いやったし。たいして顔も見とらんかったし。

意外と美人さん?

いや、こないだとは顔が違う。…て、失礼。今日は化粧しとるんかな。



「じゃ、あいつが捕まっとるうちに出ますか。」



俺が立ち上がり、それを見てそいつも立ち上がった。が、



「…ごめ!」



俺にガシッと、捕まってきた。

なんだ?と思ったのは一瞬。すぐに、足が痺れてんだと、気付いた。



「だっさ。」

「う、うるさいっ。だいたい何で君痺れてないの!」

「俺は部活で鍛えられとるし。」

「あたしだって、部活で…!」



と言ったところで止まった。

あ、この人の部活、聞いとくか。



「先輩、部活何入ってるんすか?」

「え?あ、えーっと…、や、野球部のマネ?」



何で疑問系?

ああ、でも納得した。だからボール拾いがどーのこーの言っとったんか。



「じゃ、じゃあ、あたし足治ったからいくわ!じゃね!」



フラフラの足取りで会議室を出ていった。絶対まだ治ってないやろ。

…あ、しかも名前聞き忘れた。部活よりそっちのが重要なのに。

チラッと見ると、やっと丸井の説教が終わったみたいだった。

その後、丸井からやたら感謝された。俺のために待っててくれたんだなって。お前いいやつだな、ありがとうなって。

まったく違うけど、とりあえずそーゆうことにしといた。



3年、野球部のマネージャー。

次こそ名前じゃ。

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