ぱん!2!(154537)/1111 memo
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私は私の言葉でしか貴女を愛せないの




酷く五月蝿い胸の音を抑えるように、目の前のものに集中しようとした。憎しみを込めた目、軽く開いた唇、無造作に見えて整っている無精髭。それらを念入りに観察していると我がマスター、衛宮切嗣は私の顔に手を被せてきた。

「……」
「…切嗣?」
「…」

恥ずかしかったのだろうか。しかし終始沈黙を突き通す切嗣に少し苛立ちを感じ、顔に押し付けられた掌を舐めてみた。切嗣はびくりと震えて俯いたので、今度は指をくわえる。

「…っ、…」

それでも切嗣は何も言わない。口をぎゅっと結んで、漏れるのは吐息くらいだった。舌を絡みつかせるようにただひたすら指を愛撫する。時々切嗣を見ると何かを必至に耐えているような表情で、ぞわりと何かが身体を駆け抜けた。

「っは、……っ」
「…切嗣」

それは気持ち悪さなどではなく、かといって快感でもなく。
先程とは打って変わって憎しみを込めた目はそこにはなく、あるのは快感に打ち震える涙を溜めた目だけだった。その目は真っ直ぐに私を見つめてくるため、私も私で目を逸らすことは憚られる。
指を愛撫するのをやめてじっと見つめていると、それに気づいて切嗣はこてんと首を傾げた。無意識なのだろうが私にとってそれは凶器にも等しい。

「…切、嗣」
「っ」

勢いで押し倒した。ソファーが沈み、ぎしりと音を立てる。
これは魔力供給のためだ、下心なんてない。そう言い聞かせ切嗣のジャケットを脱がせた。
切嗣は抵抗も何もせず、ただ受け入れてくれた。そのことが私を苦しめると知っているのか、知らないのか。何も言わない切嗣の気持ちなど分かるはずもなかった。











20120125

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