ぱん!2!(154552)/1111 memo
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▼参加ランクZERO/Fate腐
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泣かない君の涙
※生徒綺礼×先生切嗣
昼休みになると教室が騒がしくなるため、いつも教室以外で食べるが、今日に限って昼食を家に置いてきてしまったことを綺礼は今気づいた。昼食を食べなくても普段ならなんら問題はないが、昼休みの後の授業は体育だ。居候させてもらっている時臣に昼食を少し分けてもらおうと職員室へ向かった。
生徒だからといって昼食を分けてもらうことに躊躇はなく、綺礼は職員室への道を進む。職員室へ行くために保健室の前を通らなくてはいけないのだが、それが幸運か不運か。綺礼が密かに思いを寄せる教員の切嗣が保健室から丁度綺礼の前に出てきた。綺礼は一度立ち止まったが、ゆっくりと切嗣へ近づいていく。切嗣はそれに気付き、不快そうに眉をひそめた。
「…衛宮切嗣」
「先生をつけろ、言峰」
「…先生」
「…何の用だい」
ため息をついて切嗣は廊下の壁に寄り掛かる。綺礼はそれを見てゆっくりと近づき、切嗣の手を取った。
「…だから何の、」
「先生、私は」
ぐぅ、きゅるり。その音は無表情のままの綺礼の腹から聞こえたようだった。ポカンとした顔でいる切嗣は状況を理解したのか、またため息をついた。
「…昼食は?」
「家に忘れた」
無表情で淡々と答える綺礼を見て、切嗣はビニール袋を差し出した。綺礼が中を覗くと入っていたのはおにぎりが二つと緑茶一つ。切嗣の行動の意味がわからず顔を上げるとビニール袋を胸に押し付けて無理矢理持たせた。
「今日は弁当を忘れたからさっき買ったんだけど、アイリが持ってきてたらしくてこれはいらないんだ」
「戴いても?」
「ああ」
それならば遠慮はいらないと、綺礼はビニール袋からおにぎりを一つ取り出して食べ始めた。
「…廊下で食べるなよ」
「なら、屋上へ」
「は?ちょっ」
綺礼は切嗣の手を取り、屋上への階段を登る。抵抗も出来たが、無表情で突き進む綺礼に何も言えず切嗣は連れられるままに屋上へ向かった。
(…気まずい…どうして僕がこんな目に)
(また、言えなかった)
20120116
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