ぱん!2!(154518)/1111 memo
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▼参加ランクZERO/Fate腐
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切嗣の独白




 僕は幸せになれたのか、なんて訳の分からないことを考えることが多くなった。もちろん、僕がこの世から去ったあと。死んでどこに行くのか分からない、僕が今どこにいるのかは分からない。だからこれは、僕が死んだ後、ぼんやりと考えていたこととでも思ってくれ。
 愛する妻と娘がいた。その二人だけの家族のために戦った。妻は美しく聡明で、人間ではなかったが、僕を愛してくれて、僕も妻を愛していた。僕が崩れそうなとき、傍にいてくれて支えになってくれた。
 娘は可愛らしく、とても明るい子だった。体重は恐ろしい程軽かったが、とても楽しそうに僕と遊んだ。もちろん、僕は娘を愛していた。
 二人のために、恒久的な平和を手に入れる。そのためにたくさんの人の命を奪ってきた。少数の命より多数の命。まあその理念のせいで妻をこの手で殺すことになってしまった訳だ。愛していたのに、結局は。
 娘はまたアインツベルンの良いようにされてしまう。結論として、僕は何も守れていなかった。
 舞弥。僕の助手であり、愛人だった。彼女の死は重かった。なんだか分からないけどね、彼女が死んだとき、うまく理解出来なかったんだ。でもアイリが危険な状態で、すぐに気持ちを切り替えるしかなかった。彼女は本当によく働いてくれた。
 あとはーー、そうだな。あのサーヴァントのことか。英雄だかなんだか知らないが、立派な騎士道精神をお持ちだったね。最後の最後までアイツと面と向かって話すことはなかったよ。あんな年端もいかない少女が、戦争を駆り立てるなんて、本当に虫酸が走る。彼女とはまた巡りあったとしても、話が合う気はしないね。
 大抵のことは話しただろうか。ーーああ、そういえばアイツがいたな。言峰綺礼。アイツは今まで会った奴で最悪だったな。経歴を見た時から危険だと分かった。実際に会った時は言い知れぬ不安を感じた。アイツには散々な目に合わされた。もう顔も見たくないし思い出したくない。この話はやめよう。
 結局最後は士郎に全て託してきた。正義の味方。彼ならどうにかできるんじゃないか。何の保証もないが、そう信じることにしたんだ。出来るならもう一度、会って話をしたい。まあ無理な話だが。
 そろそろ時間のようだ。何だか全部話せてスッキリしたよ。これから僕はどこに行くんだろう、天国なのか地獄か。それともそんなものなんてないのかもしれない。死んだ後のことなんて、誰にも分からないからね。




20121111

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