ぱん!2!(154556)/1111 memo
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▼参加ランクZERO/Fate腐
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優秀な不器用さん


目を閉じると衛宮の顔が浮かぶ。
それは一瞬とかそんなものではなく、瞼の裏にこびりつくような感覚だった。
どうしても離れない。何をしても、どこにいても。

「衛宮」
「っ、言峰か」

煙草を吸う衛宮に後ろから覆い被さる。そして手を回して煙草を優しく奪い取った。

「煙草は身体に悪いぞ」
「…別に長生きする気もないよ」

自嘲気味に笑って、私の手から煙草を奪い取る。それをまた口に運び、煙を吹かした。やめる気はないのだろう。
無理にやめさせるつもりはないが、衛宮のその唇が煙草程度に独占されていることに少しイラついた。

「衛宮」
「しつこいぞ」

後ろから抱き締め、肩に顎を乗せた。それに苦笑いしている衛宮は私の頭をゆっくりと撫でた。暖かいその感触は宥められているような、そんな気がする。子供扱いをされているのだろう。ふと年の差を思い知らされたような気がした。
絶対に埋まらない。どうやっても埋まることの出来ない、私と衛宮の差だ。

「…どうした?」
「…すきだ」
「そうか」
「すき」
「うん」

すき、だいすき、あいしてる。薄っぺらい愛の言葉を耳元で囁く。それでも衛宮は動じずに、淡々と返した。やはり子供扱いをされている。
好きなのは、私だけなんだろうか。
途端に不安になって更に抱き締める手に力を入れる。すると衛宮は優しく私の手を撫でた。

「僕もすきだよ」
「…っ」

見透かされていた、のだろう。すきだよ、という言葉でこんなにも幸せになれるなんて思わなかった。







リクエストいただいた綺礼の片想い気味な言切です。
リクエストしていただいたゆの様のみご自由にどうぞ!

20120503

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