ぱん!2!(154523)/1111 memo
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▼参加ランクZERO/Fate腐
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溜息続きのカーニバル

「アイリ、聞いてほしいことがあるんだ」

妙に真剣な切嗣が、ベッドに座り私に話しかけた。聖杯戦争に何か進展があったのかしら、と思いながら紅茶を飲む。

「何?」
「少し、悩み事があって―」
「悩み事?」

切嗣がそんなことを言うなんて珍しい。しかし切嗣が私を見る目は真剣以外の何者でもない。どうやら本当のことらしい。

「――実は、大嫌いな奴がいるんだ」
「それは、聖杯戦争関係なく?」
「聖杯戦争がなく、もし出会っていたとしても嫌いになっていただろうな」

切嗣はそう言ってギリッと歯を噛み締めた。そこまで嫌な奴なのかしら、と切嗣の友好関係を思い出す。私にとっての切嗣の友好関係は合っているかさえ分からないが。

「で、そいつが――その…」
「…言いにくいことなの?」
「あー、まあ、言うといつも――いや大丈夫か…」
「?」
「アイリ」

切嗣は決意したらしく、迷うような表情から真剣な表情に変わった。肩を優しく掴まれ、しっかりと向き合う形になる。

「…言峰、綺礼なんだ。その大嫌いな奴」
「言峰綺礼…まあ分からなくもないけど」
「それで、アイツ――アレなんだよ」
「アレ?」
「……」

また迷うように下を向いた切嗣に、声をかける。何を怖がっているのかは分からない。けど。

「私はここにいるわよ」
「……ありがとう」

切嗣は私の背中に手を回して、私を抱き締めた。私も応えるように切嗣の背中に手を回す。しばらくそうして抱き合って、切嗣が落ち着くまで待った。

「ありがとう、アイリ」
「いいえ、大丈夫。切嗣――もう言える?」
「ああ」

切嗣と真正面から向き合い、耳を澄ました。どんなことを言われても、聞き取れるように。

「…アイツ、言峰綺礼は――ストーカーなんだ」
「誰がストーカーだ」
「うわああ来たあああ」
「切嗣落ち着いて!」

言峰綺礼はストーカーだ、と切嗣が言った途端に窓が割れて言峰綺礼が入ってきた。…一体いつからスタンバイしていたのかしら。切嗣は言峰綺礼を見た途端に私にすがってきた。言峰綺礼は、切嗣に何をしたのかしら…。絶対ただのストーカーじゃこんなにはならないわよ。

「…衛宮切嗣、何故逃げる」
「お前が気持ち悪いからだ」
「自意識過剰だ」
「気持ち悪いぞお前」

私の後ろに隠れる切嗣に言峰綺礼はどんどん近づいてくる。仕方ない、とため息をついて言峰綺礼の進路を手で妨げた。

「何の真似だ、アインツベルンの女」
「悪いけど、切嗣を渡す訳にはいかないわ。この人は私の大事な夫ですもの」
「アイリ…」

にっこりと言峰綺礼に笑いかける。しかし言峰綺礼は何の反応も見せずにまた切嗣に手を伸ばした。

「それは私の嫁だ」
「俺はアイリの夫ですけど」

どうやらこの人はもう切嗣しか見えていないらしい。切嗣、可哀想だけど私には何も出来ないわ…。





リクエストいただいた言→切→妻です。
リクエストいただいた匿名様のみご自由にどうぞ!


20120405

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