ぱん!2!(154550)/1111 memo
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▼参加ランクZERO/Fate腐
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一瞬だけで終わらないから
「時臣」
「…お早うございます、王の中の王よ」
時臣が朝日を閉じた瞼に感じ、起き上がってみるとカーテンが開かれ部屋に光が満ちていた。カーテンを開いたのはどうやらアーチャーらしく、時臣は目を細めてそれが自分がへりくだるべき人物だと分かると頭を下げた。
その時臣の様子に満足げに微笑みながらアーチャーはゆっくりと時臣に近づく。アーチャーが時臣の肩に手を触れると、まるで小動物か何かのようにびくりと震えた。
「何か、御用でしょうか。王の中の王である貴方の前でいつまでもこのままでは…」
「詰まらん戯れだ。気にするな」
寝間着のままでいる時臣にとっては、アーチャーの前でこれは屈辱でもあるだろう。常に余裕を持って優雅たれ、という家訓を持つ時臣は一刻も早く普段の上品なスーツに着替えたいところだ。しかしアーチャーはそれを許さず、くるくると指で時臣の髪を弄っていた。
「…傷んでいるな」
「……は」
「髪が傷んでいるぞ、貴様。我の――形だけではあるが、主が何をしている。枝毛が何本もあるではないか」
「え、あの」
「来い」
枝毛だ何だ散々捲し立てられ、ポカンとしている時臣の手をアーチャーは無理矢理引く。長い廊下をされるがままに連れられ、ついたのは風呂場だった。広々とした、無駄な飾りがない浴場。そしてアーチャーは掴んでいた時臣の手を引っ張る。予想していなかった行動に時臣は目の前にあった浴槽に頭から突っ込んだ。幸いにも底に頭を打つことはなく、時臣は顔を上げて訳の分からない行動をするアーチャーを見つめた。そしてアーチャーは自分も浴槽へ入り、時臣の顎を上げさせる。
「…中々だな、時臣」
「なにを、んっ」
反応する暇もなく、アーチャーは時臣の唇に自分のそれを重ねた。啄むようにちゅ、ちゅ、とキスをしていたかと思えば、舌を入れ口内を舐め回す。それに無意識なのか舌を出してしまった時臣の舌をアーチャーがすかさず奪いとる。
「―ん、っ、ふ…」
「なあ、時臣」
アーチャーが口を離すと、銀色の糸が二人の唇を渡った。ぷつりと切れ、アーチャーは口を弧に描く。
「楽しもうではないか」
時臣の顔が嫌そうにしかめられる。その顔が見たかった、とでも言うようにアーチャーは楽しそうに微笑んだ。
リクエスト頂きましたギル時です。
リクエストしていただいた匿名様のみご自由にどうぞ!
20120203
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