ぱん!2!(154540)/1111 memo
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03 帰宅後に覚える室内の違和感、しかし理由はわからない


「衛宮、ちょっといいか?」
「…なんだい、遠坂」

帰る準備を終え、廊下に出ると待っていたのは遠坂時臣教授だった。遠坂は微笑むと、ついてこい、といっているのかさっさと歩き始めた。帰っても誰もいないし、いいか。そう思って何を問うでもなく遠坂についていった。

廊下をしばらく歩き、ついたのは広い講義室だった。遠坂について中に入ると、そこの部屋の真ん中に見覚えのない人影があった。無表情でこちらを見ると、ゆっくり歩いて近づいてくる。

「…衛宮、紹介したい。親戚の綺礼だ」
「親戚?」
「ご両親の関係でね。親戚で一番縁の深かった私のところに来たんだ」
「…そうか。で、紹介してどうするんだ」

そう言うと、遠坂は綺礼の背中を押す。綺礼は僕の目の前に来て、何も言わず僕をじっと見つめた。それに少し不快感を覚え、顔をしかめると綺礼は目をそらす。

「君に興味があるらしいよ」
「…僕に?」
「時間の関係で君の講義をとることは出来ないんだが、一度会ってみたかったらしい」
「…へえ」

一体どこで僕のことを知ったのかは分からないが、どうやら尊敬の念を持ってもらっているらしかった。未だ無表情でこちらを見ている綺礼、とかいう男をくまなく観察してみる。
無表情、無感情。まだ出会って喋り出さないところを見ると、無口な方らしい。そして感情がどうにも見えない。普通なら行動のひとつでも起こすだろうに、何の反応もない……分かりにくい奴は苦手だ。

「今回は紹介したかっただけなんだ。見かけたら声でもかけてやってくれ」
「…何で僕が」

文句を言おうとしたが、遠坂はさっさと綺礼と共に講義室から出ていってしまった。その姿は彼の優雅だかたれだかなんだかの家訓を体現しているようで何も言えず送り出した。扉を閉める前に綺礼がこちらを振り向き、そして微笑んだ。

ぞわり。
…これはあのときの、廊下での感じだ。甦る感覚に寒気を覚えたが、気にしないように荷物を持って歩き出した。

玄関のドアを開け、適当に靴を脱ぎ散らかす。手探りで壁にある電気のスイッチを探し当てる。パチリ、という軽快な音と共に部屋に光が満ちた。リビングのソファーに沈むように座って項垂れる。今日は妙に疲れた。その所為か部屋がいつもと違って見える。ゆらゆらとさ迷う視線が明らかに疲労感を現していた。
もう、寝よう。







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