ぱん!2!(154538)/1111 memo
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02 常に後方より感じる不気味な気配、及び視線


「…衛宮教授!」

廊下の向こうからパタパタとこちらに向かって駆けてくるその男は嬉しそうにしていた。彼の笑顔は中性的な――というよりは女に近いだろう可愛らしい顔のつくりを更に際立たせる。彼、ウェイバー・ベルベットは普段とても周りに尖った態度をとっているらしい。らしい、というのは僕にとって彼はただ可愛い生徒の一人だということだ。彼は僕になついているらしく、そのような態度をとられたことはなかった。
ベルベットは持っていたトートバッグから紙束を取り出し、僕に差し出した。どうやらレポートのようだが、僕はレポート提出の宿題を出した覚えはない。受けとれずにいるとベルベットが話を切り出した。

「あ、えっとそれはケイネス先生に出された宿題なんですけど、」
「ああ、エルメロイか。…それで、僕に何故?」
「ケイネス先生が何も言えないようなレポートにしたいんです、だから少し見てもらいたくて」

ベルベットはエルメロイを異様に嫌っているらしい。それというのも、エルメロイはベルベットがいくら優秀な成績を納めようと褒めようとしないどころか酷く貶す。アーチボルトの差別は今に始まったことではないが、ベルベットはそれがとても気にくわないらしい。

「わかった、返すのは明日でもいいかい?」
「はい、ありがとうございます……じゃ、ちょっとイスカンダルに用があるので」
「また講義の時に」

手を振って見送ると、ベルベットは来た時と同じようにパタパタと廊下を駆けていく。おまえなにやってんだよばか!とかいう声がベルベットが曲がった方から聞こえたから、きっとイスカンダルには会えたのだろう。僕は講義の準備をするために職員室へ向かおうとそちらに足を向けた。

――ゾクリ

その擬音が見事に当てはまる、そんな感覚だった。背中が痒い。気持ちが悪い。何なんだ、これは。気配?誰かに、見られている?
いつのまにか顎を伝って冷や汗が流れていた。どのくらい、ここに立ち尽くしていたんだろう。周りで騒がしかった学生たちは消えていた。
ただ、未だに気持ちが悪い視線と気配は消えなかった。

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