ぱん!2!(154539)/1111 memo
clap:Re
▼参加ランクZERO/Fate腐
-----------------
01 いつの間にかなくなる衣服、主に下着類

「…あれ」

気がついたのは月が綺麗な夜だった。仕事を終え、着替えようとクローゼットを開けたところで。二着あるはずの黒いコートが一着ない。もう一着は外出の際に着ていて、今脱いだものだ。もしかしたらクローゼットに入れておくのを忘れていたのかもしれない。そう思い、特に気にすることもなかった。



朝、カーテンの隙間から差し込む朝日に目が覚めた。今日は仕事がないから家でゆっくりすることができる。手をぐっと伸ばして欠伸をしたとき、何かの違和感に気づいた。何か、おかしい。ベッドを出ようとしたとき、その違和感に気づいた。スウェットのズボンが膝の辺りまで落ちていたのだ。そこまで寝相は悪くないはずなのに、今日は一体どうしたんだろうか。考えていても仕方ないので、スウェットのズボンを上げてベッドを出た。
そして着替えようとクローゼットを開けると、衣服がない。明らかに減っている。特に下着類が。まさか夜中に誰かが部屋に入ったのだろうか。しかし僕のようなおじさんの衣服やら下着類やらを盗って何になるというのだ。確かに下着類を多く盗られはしたが、生活に大した支障はなさそうだ。さすがに警察に届けるほどでもないだろう。しかも僕は男だ。泥棒くらいなんとかできる。

ようやく着替えて台所で珈琲を淹れる。いつもならここで妻が出迎えてくれるはずだが、昨日から友人と一週間旅行に行っている。娘も連れていってしまったため、あと六日間は一人で過ごすことになる。一人で朝食を食べ、一人でリビングでゆったりと過ごす。妻と娘がいないとこんなに寂しいのか、と自問して馬鹿らしくなった。確かに妻と娘は世界一大事であり僕にとって宝のようなものだが、六日間いないだけでこれとは。
気分転換に買い物でも行こう。妻に何か心配されたら悪いし、ついでに衣服やら下着類やらを買い足しておくとするか。






[ 9/24 ]

[*prev] [next#]
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -