5.
「そうか。
俺の為に悪いな」
ヒカルはぶんぶんと首を横に振った。
「剣人さんいつも来てくれるから、
ありがとうって気持ち込めて、だよ!」
声は明るいが俯きながらカットに集中している振りをするヒカル。
少し頬を染めてる事を隠すように。
しかし剣人はそれに気付いた。
抱き締めたい衝動に駆られるが、
カウンターがそれを邪魔して叶わない。
剣人は立ちあがりそっと腕を伸ばし、
ヒカルの赤い頬に触れた。
優しく包み込むように。
「ひゃっ!?」
驚いて視線を上げたヒカル。
頬は更に紅潮して熱を帯びているようだ。
「もうちょっとこっち来い」
「え?え?何?」
ヒカルが言われるがまま剣人の方へ上体を傾けると……
(チュッ)
頬を大きな両手で包まれ、
剣人が食むようにキスをしてきた。
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