4.
「ケークサレ?」
「塩味のおかずケーキってとこかな?」
ヒカルが焼いたばかりであろうケークサレにナイフを入れる。
切り口からふわっと上がった湯気とともに、
香ばしい匂いがした。
剣人はクンッと鼻を吸った。
「……良い匂いだ」
「でしょ?
焼き立てなんだよ」
カットされた断面も色とりどりで綺麗だ。
「ん?
これは何だ」
「これはほうれん草だよ」
ミニトマトにほうれん草。
コーンに玉ねぎにチーズ。
「あとは剣人さん用にソーセージとベーコンも入ってます!」
「俺用に?」
「うん。
お肉入ってた方がいいでしょ?」
自分の為だけに考えて作ってくれたようだ。
そう考えるとなんだか照れ臭くて、
剣人は首の後ろを掻いた。
「いいな」
「本当?嬉しい!」
剣人さんは毎朝のように来てくれるのに、
コーヒーしか飲まないから心配だったの。
だから、簡単に食べられてコーヒーのお供になって、
朝ごはんになるものなんだろうって。
ヒカルは嬉しそうな笑顔を見せながら、
ケークサレを作った経緯を話してくれた。
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