7.
運命の出会いを果たす男女。
そしてたちまち恋に落ちる。
幸せの絶頂に訪れる2人きりの夜……。
「……っ……!」
強く肩を抱き寄せられたかと思ったら、
不意に剣人の吐息が耳をくすぐった。
「剣人さんっ……!」
身を捩りながら小声で剣人を呼ぶが、
躊躇うことなく彼の大きな手は肩から腰へ滑り降りる。
「もっとこっち来い」
そんな低い声で囁かれても……。
心臓の音が頭の中に響き渡り、映画に集中できない。
ヒカルはギュッと固く目を閉じた。
そんなヒカルに気付いたのか、
剣人は静かに溜め息を吐いた。
「……悪い」
いつもならここで止める台詞だ。
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