4.
映画館に着いた。
「待ってろ」
先に買った飲み物で両手が塞がったヒカルを待たせ、
剣人はチケットを座席指定券と引き換えに行った。
レイトショーの時間。
周りはカップルが多くて、
ヒカルは何だかくすぐったい気持ちになっていた。
キョロキョロしていたところで、
右手から飲み物が抜けた。
「どうした?キョロキョロして」
空いた右手は剣人の大きな左手に包まれた。
「カップルばっかりだなぁと思って」
「ああ。俺たちもそうだしな」
何の気無しに言ったようだったが、
それがヒカルは嬉しかった。
だが口元が緩むのを我慢して、
隠すように剣人の左手を握り返した。
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