5.
「だってお前は女で俺は男なんだぞっ……」
魁斗は動揺を隠すように、むにっとヒカルの頬をつねる。
「へっ?」
きょとんとするヒカルの目の前には眉間にシワを寄せた魁斗。
暗いからわからないと思っているが、
ヒカルには照れている事がすぐにわかった。
「……あ……」
抱き合ったりキスをしたりは2人きりの時にしてる。
でもそれはデートの帰りだったり、誰もいない店でだったり。
ヒカルの部屋は、
イコール2人きりの個室だ。
「鈍感」
魁斗は頬をつねっている手を弾くように離した。
「いたっ」
「ちゃんと送ってやるからちゃんと飯食えよ」
再び魁斗はヒカルの腰に手をまわして寄せ、
歩き出そうとした。
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