7.
「わわっ!
慎之介さん!?」
驚きの余り、
ヒカルは一気に目が覚めてしまった。
「あっ!
ごめん!ごめんね!」
慎之介は慌ててヒカルをそっとソファーに戻し体を離す。
ブランケットを掛け直すとその上から胸の辺りをポンポンと撫でた。
「そっか……
だから僕も調子悪かったんだ」
「え?」
慎之介はヒカルの前髪を掻き上げるように、
額を優しく撫でた。
「僕ね、今日、
何やっても全然上手くいかなくて……」
「慎之介さん?」
「みんなにいっぱい迷惑かけちゃったんだよね」
俯き加減の慎之介が余りにも悲しそうな顔をするので、
ヒカルはその頬に手を伸ばした。
やっぱり、泣いているようだった。
「ん……ヒカル?」
「誰にでもそういう時、あるよ。
だから、元気出して」
ヒカルの手に自分の手を重ね、
慎之介は泣きそうな笑顔を見せた。
「僕たち、双子みたいだね?」
「え?どうして?」
「だってふたりして同時に調子崩しちゃうなんてさ」
ふふっと笑う慎之介。
ヒカルも何だか可笑しくて、
つられて笑ってしまった。
「あ、でも双子だったらこういう事しちゃいけないよね」
「えっ……?」
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